青林工藝舎アックスにて「凡天のサミュエル」を連載漫画家 堀道広さん

堀道広さん

クリエーターインタビューでは、商業誌で活躍中のクリエーターや同人誌で活躍中のクリエーターなど、みんなが気になるクリエーターを毎回お一人ずつご紹介。
作品の裏話や、普段どんな風に作品を制作しているかなど、気になる疑問をインタビューでお聞きします！
今回は、漆職人という何とも変わった経歴をもつ漫画家 堀道広さんを紹介致します。

堀道広
漫画家。富山県生まれ。漫画、雑誌イラスト、うるし部（うるし教室）などで活動。石川県立輪島漆芸技術研修所卒。美学校・クスミのマンガ視聴覚室第1期生。第5回アックス漫画新人賞「みんき」が佳作でデビュー。07年「青春うるはし！うるし部」（青林工藝舎刊）。現在、アックスにて「凡天のサミュエル」を不定期連載。自主レーベル・PPP（ペトペトプレス）主宰（予定）
歳時記

■堀道広展
堀道広氏が変なイラスト、まんが「ぺっとり君」の販売、変なうるし作品、変な顔ハメなどを展示する初個展です。

期間：
　2009年1月15日(木)～27日(火) [水曜定休]
時間：
　12：00～20：00
場所：
　にじ画廊
　東京都武蔵野市吉祥寺本町2-2-10
TEL:
　0422-21-2177

【書籍】
『青春うるはし!うるし部』青林工藝舎より好評発売中！

堀道広さんの事を教えてっ！

――マンガを描き始めたきっかけは何ですか？

「名もない輪島塗の職人という生きかた」を目指し石川県の輪島で漆塗りをしていたんですが、あるとき親方のような方から、クビといいますか「他のことやったほうが良いんじゃないか」と言われまして、それから他にやりたいこともなく、マンガを描こうと思いました。

――初めて描いたマンガはどんなマンガですか？

友達を、とある工場に探しに行ったら鬼に捕まって市中引き回しの刑みたいな目に合う話で、じつはそれが穴あきジーンズとかの古着を製造する工場だったみたいな、ケレン味もないマンガでした。

――何か一貫したテーマを持ってマンガを描いていますか？

まじめだけど何かヘン。

――作品のアイディアはどうやって考えていますか？

ヤカンにお湯を沸かすみたいに、脳内コンロを弱火でも点火しておいて、いつかグツグツ沸騰するまで寝たりして待つ。

――マンガを描くうえで、何に一番苦労しますか？

描き始めるまでダラダラしているのとインターネットの誘惑に色々苦労します。

――今までに描いたマンガのキャラクターの中で特に印象に残っているキャラはいますか？

「松田権作」という、漆芸の人間国宝「松田権六」先生から名前だけお借りしたキャラで、首が異常なほど太くて男らしいんですが洗面所で小便をしている所を偶然生徒に見つかったり、実はヅラだったり、味わいある漢でした。

――キャラクターを描くときのこだわりを教えてください。

男は男らしく、女は女らしく、くらいです。

――今後描いてみたいキャラクターはありますか？

焼き鳥の串刺しなど上手なキャラ。

――そのキャラを使って、どんなマンガが描いてみたいですか？

地獄で悪人の肉で串を打つという「三途の川の焼き鳥人」みたいな男が必要に迫られて現世に現れることになり、必要に迫られて人と対峙しなければならない話とか、面白い・・かな。

堀道広さんの描き方を教えてっ！

――1ページあたり、どのくらいで仕上げていますか？

だいたい平均5時間くらいだと思います。

――画材は何を使っていますか？

割り箸ペンを好んで使っていたのですが、ミリペン（0.4ｍｍ）が数倍早く描けることに気がついて、もっぱらそういうのです。ベタは油性マジックです。

――これは便利だ！と思うオススメの道具はありますか？

薄いトレース台（らんぷシート）です。場所とらないし、軽いし、目も疲れにくいから便利です。あと、修正テープも便利です。

――マンガを描くときの作業工程など教えてください。

けっこう描き込んだネーム→原稿にトレース。（納得いかないものは再びトレース）→完成。

――技術向上の為に何かされていますか？

染み込みの良い紙に描いて裏から読むようにしてみたり、自分だけの質感が出ないかと思って試行錯誤していますが、技術向上といえるかわかりません。

――マンガを描くときの○秘テクニックをこっそり教えてください！

内緒ですが、眠気スッキリガムを食べると眠気がスッキリします。

堀道広さんにとっての描くとは...

――商業でのお仕事経験はありますか？または、初めてお仕事をもらった時の心境を教えてください。

少ないですがあります。「編集者＝自分をどん底から救済してくれる神」だと思いました。今は神様という程ではないのではないかと思っています。

――自分のアピールポイントはなんだと思いますか？

変な絵、ギャグ、男性キャラの首が胴体より太い。

――将来こうありたい！という願望はありますか？

犬を解体・・・じゃなくて犬を飼いたいです。

――休日は何をして過ごしていますか？

お菓子食べたり。

――マンガ以外で好きなものを教えてください。

古民具、小さい動物の置物の収集、ラジオ（おもにAM）、海外ドラマ見る、旅行。

――影響を受けたマンガなどあったら教えてください。

まことちゃん、ハイスクール！奇面組、まんが道、サザエさん、俺節、サルでも描けるまんが教室、ジャンプ放送局、など。

――どのあたりに影響を受けましたか？

「まことちゃん」で、「あんこもうんこもおんなじじゃー」といっておつかい途中、もなかの餡とうんこを詰め替えるところ。（しかし、後にご褒美でそれを食べさせられるはめに）

――最後になりますが、堀道広さんにとって描くとは何ですか？

大自然の摂理と美しさに比べると自分一個人など表現する行為というのはとるにたらない醜いことではないでしょうかなどと考えたり、又、自分にはマンガ家に必要な資質やセンスを持ち合わせているとは思えず、過度な期待はしていませんが、取捨選択の末にしかるべきして今現在があるわけで、なにかしら自分に残された道があって描いている、と最近では思います。しいて言うならば「祈り」です。

――ありがとうございました！

堀道広さん　作品紹介

アックス内で連載のデス・耳掻き漫画「凡天のサミュエル」より

堀道広さん　作品紹介２

単行本「青春うるはし！うるし部」より

堀道広さん　作品紹介３

野鳩第12回公演「君は人のために死ねるか？」チラシイラスト

イラスト「猫」

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