『真綿の檻』感想スタンプ・評価点数でどこが面白い？良い点は？関連作もまとめて紹介！

ストーリー性
キャラクター性
画力
読後感

「控えめで化粧っけもない古風な女性」と周囲から見られれている榛花（はるな）。彼女の夫・一広（かずひろ）はとても不愛想で“男子厨房に入らず”を実践。まるで昭和初期の夫婦のようだ。
そんな姉のことを「まるで奴隷」と弟の聖司は揶揄する。

そんなある日、母の泰枝がケガをして一か月ほど安静が必要となった。父も弟夫婦も当然のように榛花に実家の家事を押し付けようとする。しかし、同行した一広は「オレのメシはどうなるんですか？」と言い放ち――。

義妹の目線、弟の目線、夫の目線、それぞれから見た榛花のイメージが描かれ、そのどれもが真実であり、または虚実である。浮き彫りになっていく1人の女性の真の姿。
そこには何か大それた秘密があるわけではない。
様々なことを経験してきた一人の女性が、気持ちの落としどころを見つけながら、しっかりと自立した。それだけのことだ。

続く第二話（サイドＢ）ではうってかわって母・泰枝の視点に切り替わり、自分の置かれていた境遇と、扱いづらかった娘・榛花の幼少時を回顧していく。
そして大人になった榛花と腹を割って話し、その真意を知ったとき、“あること”に気づくのだった。

ザッピング形式の作品は数あれど、ここまで家族の深部にまで踏み込んだ作品があっただろうか。どんでん返し云々はスパイスに過ぎない。全ての読者の共感を呼ぶ普遍的な物語だ。