バカみたいに律儀にベトナム戦争を描く ディエンビエンフー の感想レビュー
[オメガ屋・4等人格矯正師 さん] 画おすすめ感想レビュー
ディエンビエンフー 3 (3) (IKKI COMICS)-西島 大介
- 戦争漫画をおすすめ!グッとくる面白い作品はリアル感溢れるドラマだ
- 「2つのディエンビエンフー~あらかじめ失われたハッピーエンド」
ナイフを持ったお姫様とカメラを持った王子様が出会うベトナム。 「ボーイ・ミーツ・ガール」の極北にして、ひょっとすると究極の愛のカタチを描いた ベトナム戦争マンガの傑作「ディエンビエンフー」。
2つのバージョンを持つ(作者によるセルフリメイク)この作品は、いずれも1973年の、アメリカ軍が撤退しようとする混乱のサイゴンから始まる。
新旧どちらの「ディエンビエンフー」でも、爆死した恋人達の「互いに握り締めたまま切断された手首」から 幕を開ける。
いや、普通に考えれば、おそらく主人公たちの手首なのだろう(違ったら本気で笑う)、1965年に始まる2人の物語の 結末は「爆死」と、その冒頭で示されてしまっている。
そして舞台は1965年のアメリカ軍の本格介入が始まった時期に戻ってくる。つまり、この作品は「8年間」というベトナム戦争のクライマックスからエンディングまでを律儀に描写するつもりなのだ。
一体、どんな壮大な物語を「西島大介」は描くつもりなのだろうか?
例えば生井英孝の「ジャングルクルーズにうってつけの日」、例えばキューブリックの「フルメタル・ジャケット」、例えばティム・オブライエンの「カツィアートを追跡して」。
いずれも、数年分以下(もしくは数ヶ月、数週間以内)のスパンでしかベトナムを描写していない。(あと、ちなみにお姫様の設定にはオブライエンの短編「ソン・トラ・ボンの恋人」の影響もうかがえる)
だが、ベトナム戦争の本質とはそんなものではない。
ダラダラと・・・フランスとの戦いから数えると、実に30年近くダラダラと続いた、不毛で皮肉な 「日常化」こそが、この戦争の本質なのだ。(さらに皮肉なことに、現在のベトナムは 社会主義を捨て、経済活動に邁進しつつある。たとえばイラク戦争に参加するPMC=民間軍事会社のオペレーターたちが愛用する装備品メーカー BLACKHAWK社の工場はどこにあるかといえば、これがなんとベトナム。皮肉としか言いようがあるまい)
では、どうすれば、この戦争の本質にアプローチ出来るのか?
簡単だ(方法論としては)。
少なくともアメリカが介入してからの8年間を延々と描写すればよいのだ。 無論、そんなことは、普通は思いついても誰もやらないだけなのだが。
だが、恐ろしいことに現在、連載されている「ディエンビエンフー」は、その手法で、 バカみたいに律儀にベトナム戦争を描いている。
それだけでも、どれだけ真摯に、どれだけ覚悟を持って、西島大介がこの作品に向き合っているか判ろうかというものだ。
個々のエピソードをここで語ることは不毛だし、文字数の制限もあって、あまり意味が無い。
だが、この手法を選んだことこそを意識して読むことで「ディエンビエンフー」は、その姿と表情を変えるはずだ。
巻末に掲載された年表を見て「30年」もしくは「8年」という時の長さを今一度考えてみてほしい。
そして、最期に、もし可能であるならば、個人的に作者にお願いしたいのは『トリポッド』の完全漫画化である!これこそ、未来の全人類にとっての「ベトナム戦争」の物語なのだから!
ストーリー性
キャラクター性
画力
読後感
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