漫画系面白企業にインタビュー

デジタル配信オンリーのコミック雑誌『デジコミ新潮コム・コム』ができるまで

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デジタル配信オンリーのコミック雑誌『デジコミ新潮コム・コム』ができるまで

新潮社発行の月刊コミック誌『デジコミ新潮コム・コム』

今、コンビニや書店で大量に販売されているマンガ雑誌。毎号楽しみにしている方もいるでしょうし、たまたま手に取ったものを暇つぶしに電車の中で読んで、そのまま捨ててしまう方もいるでしょう。出版不況がささやかれる中、どの雑誌もたくさんの人に読んでもらえるよう頑張っています。

そんな中、「パソコン」と「携帯電話」でしか読めない、デジタルコミック雑誌が発売され、話題になっていることはご存知でしたでしょうか?新潮社発行の月刊コミック誌『デジコミ新潮コム・コム』です。今年の3月に創刊されたこの雑誌、伊坂幸太郎ら大ベストセラー作家の原作をコミック化することで、ストーリーフルな読み応えのあるマンガを送り出す、というコンセプトの元、現在第4号まで発売中。電子配信なのでいつでも好きなときに買うことができ、バックナンバーを含めて「売り切れ」がない!欲しかった本が探しても見つからなかったガッカリ感を知っている人には、なんとも嬉しいですよね。

今回はその『デジコミ新潮コム・コム』がどのようにして作られているのか、新潮社コミック事業部に取材に行ってきました!

デジタル配信オンリーのコミック雑誌『デジコミ新潮コム・コム』ができるまで

新潮社コミック事業部。皆さん忙しそう!

――まず、編集者・山田さんに「作る上で、紙のマンガ誌と違うところってあるの?」と聞いてみました。

コム・コム編集:山田さん。

「編集の仕事は、基本的に紙の雑誌とやっていることは変わりませんよ。まずは漫画家さんと次号の内容の打ち合わせ。次にネームをチェックして打ち合わせ。さらに下書きで確認して、最後に原稿をいただきます。ここまでは紙の雑誌の編集と同じでしょう。」

――では編集として、デジタルならでは、っていうところは何かありますか?

「そうですね、紙とは違う表現とか、デジタルならではの新鮮味をどうやってだそうか、ということはいつも考えてます。ともすると紙での表現形式や形に考え方が縛られそうになるところを乗り越えて、どんな面白いことができるのか挑戦していきたいですね。
例えば、「コム・コム」には折や束(※)の制限がないので、非常にフレキシブルに内容を編集できます。漫画家さんにもページ数での制限をかけるようなプレッシャーをかけずにすみます。紙では非常にしんどかったことも自由にできますね。カラーページの配置も自由自在。紙だとコスト面などで難しかった構成も、デジタルだとまったく問題になりません。これは面白いですよ。」
【※...折(おり)、束(つか)と読む。紙の本は、凄く大きな1枚の紙に収まるように、碁盤の目のようにページを印刷し、折りたたんで切り離し、それをたくさん張り合わせて一冊にしている。そうすることで、印刷する紙の総枚数を少なくできるわけです。折とはその1枚の紙のこと。碁盤の目にぴったりはまるように、本のページは8の倍数ごとに構成されることが多い。印刷のロスを最小限にするため、一作品のページ数が4の倍数や8の倍数に決められてしまうことがよくある。束とは、本の厚さ(総ページ数)のこと。】

――逆に、デジタルであることによって気付いた問題とかってあります?

「問題というほどではないですが、紙の本で読むマンガとパソコン画面上で読むマンガの印象がずいぶん違うな、という感触は強くて、意識しなくてはいけないと思っています。読者の皆さんは紙の雑誌で読むマンガに慣れ親しんでいますよね?パソコン上でぱっとマンガの見開き画面を見ると、全体の情報がいっぺんに目に飛び込んできて、ちょっと違和感を感じるんですよ。ページをめくってから読み始める前に、いっぱく間が空いてしまうというか...慣れの問題だとは思うんですけれど。そのため、コマの運び方や、特に目立たせたいコマをどう配置するかなどは、紙の雑誌の感覚とは別のセンスが必要になってくると考えています。」

――マンガ家さんにはそこらへんをどう伝えているんですか?

「実際パソコン上で出来上がったものを読んでいただいて、そのあたりの感触は共有しています。ネームの打ち合わせのときに、2人でパソコンの画面を覗き込みながら...なんてこともあります。」

――なるほど。山田さん、ありがとうございました。

デジタル配信オンリーのコミック雑誌『デジコミ新潮コム・コム』ができるまで

めでたく校了!

さて、編集の手を離れた原稿は、どんな工程をへて発売されるんでしょう?そここそが紙の雑誌と違うところなはず。次は編集部制作スタッフの山本さんにお話を伺ってみましょう。

コム・コム制作:山本さん。
恥ずかしいので顔出しは無し!
だそう。残念。

「まずは出来上がった原稿をスキャナでデータとして取り込むところから始まります。そのデータを一度漫画家さんにチェックしてもらいます。そこで、これは漫画家さんによりますが、漫画家さんご自身が着色加工や効果を入れたりします。」

――なんと!原稿を描き終わってもまだやることがあるんですね。

「私や他のデザイナーが加工することもありますよ。素材として写真を加えたり、色や明暗の効果を加えます。」

――山本さんはコム・コムのアートディレクター!?

「いえいえ(笑)。ただ、そうやってデジタル処理をどんどんやっていくことによって、普通のマンガ誌ではいままでになかった新しい見せ方だとか面白さを、日々発見しているとは言えますね。特にカラーの使い方は面白いです。紙の雑誌ではとうていできない、やろうとするとえらく手間とお金がかかることを、コム・コムでは全ページに渡ってタダに近いコストでできちゃうんですから。例えばショッキングなシーンで血痕だけ赤くする、などはわかりやすい例ですね。目立たせたいコマを1コマだけカラーにする、みたいな手段であるとか。 『陋巷に在り―顔回伝奇―』(原作:酒見賢一漫画:羽生生純)を描いている羽生生先生はデジタルで入稿されているんですが、統一された配色でのオールカラー原稿なんです。」絵の色分けを意識的にやってらっしゃるんだと思いますよ。怪物や敵が出てくると赤い色が施される、とか。」

左:羽生生先生の原稿をパチリ。大迫力!
右:血痕が鮮やかに...ショッキング!

――それは新鮮ですね!さて、その次は何を?

「次は、パソコン上でふきだしの中のセリフの文字をはめ込んでいきます。これが終わると、もう印刷用データとまったく変わらないものが出来上がります。」

――ゴールは近いですね。

「いやあ、ここからがまた長いんですよ(笑)。印刷用の高解像度のデータを、圧縮をかけずにpdfファイルに変換。それを今度はtiffファイルに。ようやくこれで1枚の画像として、デジタル上の『誌面』が完成したことになります。さらにサイズを規定の大きさに縮小し、ようやく最終チェック。サイズを縮小したときに発生する可能性のあるモアレなどが出ていないかなど、丹念に見ていきます。問題なし!となったところで、データを配信会社さんへ送信。ここで一息、といった感じですね。」

もちろんデザイナーさんの手も入ります。
お、あれはまだ見ぬ最新号の表紙!?

――この間、山本さんも山本さんのパソコンも休み無く動いているわけですか。大変だ~。

「そして、配信会社さんから、パソコン上のリーダーで読めるように組み立てられた、いわゆる『販売用データ』が戻ってきますと、それを最終確認して、めでたく校了!となるわけです。」

――お疲れ様でした~!あっそうだ、携帯配信用のデータはどうしているんですか?

「携帯用のデータは、さらにひと手間あるんです。もちろんパソコン用のデータと並行して制作しているんですが、tiffファイルにするところまではパソコンと一緒です。そこから、コマの切り出しというものをやらなくてはいけません。マンガを、コマごとにばらばらの画像にするんです。それを携帯用リーダーソフトで読めるような形に組み立てるのですが...ご覧になったことがある方はわかると思いますが、フラッシュアニメを作るように、一コマ一コマ見せ方と動きを指定していくんですね。スクロールの際の停止位置を決めたり、クローズア ップから全景に切り替わったり。まるで映画のカメラワークを考えるようですよ。」

――カメラマンとしての仕事もあるなんて!

「読者が携帯のボタンを押すことでシーンが切り替わっていくんですが、ただなんとなく切り替わるだけではダメで、ためを作ったり急に切り替わったりと、タイミングにも気を使います。次のコマに進むこと、つまりボタンを押すことがまるでゲームを楽しんでいるかのように、楽しくなってほしいと思いながら、作っています。」

携帯配信用データを編集中。
細かい作業...。

――面白さを伝える工夫が、二重三重にされているんですね。山本さん、ありがとうございました。

確認用に印刷された最新号の作品群!!出来上がりが楽しみです。

いかがでしたでしょうか。まったく新しいマンガ体験をさせてくれる『デジコミ新潮コム・コム』。手軽に読めて色あせない、デジタルの魅力が一杯つまっている雑誌だと思いました。



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