個性を出した漫画を描には？「悪目立ち戦隊個性ドン」

「悪目立ち戦隊個性ドン」の巻

オイッスー！

・・・・・・

声がちっさいぞ！もいっちょオイッスー！

・・・・・・

と、ドリフ式一方通行挨拶で始まった今回の『絵答え』ですが皆様いかがお過ごしでしょうか。
質問ですが着実な停滞をみせ今回も３通でした。
みなさん！今なら好きな色とかスリーサイズを聞くチャンスですよ！
ドスドスご応募ください！
そんな中選んだのは結局無難なこの質問です。

【まちまちボーイさん】
すいません。ふたつ質問を書きますね。
(１)個性を出した漫画を意識して描こうとは思っているのですが、
　　羽生生先生のようなスタイルに近づけません。
　　何かアドバイスをください。お願いします。
(２)初めて、原稿料をもらった時のお金は何に使いましたか？

はじめてもらった原稿料ですか、...こういう記念日的なものにちゃんと神経が行き届いてる人とかいますが本当に尊敬します。
私はこういうものに全く無神経で、記憶しようとすらしませんでした。
考えるにそうなった原因は誕生日にあると思うのですが、１２月２５日という地球規模のお祝いのどさくさにまぎれて誕生日とクリスマスのプレゼントを一括払いされて悲しかった私には個人的な記念日を意識的に覚えないようにするという癖がついてしまい、自分のデビュー年すら調べないとわからない有様です。

その流れで(１)の質問を考えると、「個性を出す」つうのは要するに「目立つ」事だと思うのですが、カレンダーの記念日は赤丸とかつけられて目立ってますが、そこにかぶっちゃってると結局「１２月２５日生まれの人...キリスト、その他」の「その他」になってひとくくりで取り上げられることはありますが自分だけでは目立たない、ということなのです。

もし１２月２５日生まれで目立とうとすればキリストを上回る目立ちっぷりを発揮せねばならないわけで、これは歴史的規模の話になっちゃいます。
もちろんそれにチャレンジするのも自分の人生の使い方だとは思いますが、それよりも実現可能性が高いのは自分の記念日を作っちゃう、という作戦です。
耳の日しかり、良い夫婦の日しかり、サラダ記念日、カラダ記念日しかり...
勝手に記念日作って勝手に祝えば目立つ可能性はグンと高くなります。

これを漫画に当てはめると、みんな知ってる記念日をヒット作とすれば、その日を敢えて狙い更なるヒット作をつくるか、それとも普通の日を無理矢理記念日にして目立つか、ということになります。

でも他人にとってどうでもよい日を祝ってもらうにも工夫が必要で、ただ「素晴らしい日ですよ祝いましょー！」と叫んでもそうそう上手く行きません。

そこで有効なのが「悪目立ち」という方法です。

あたかもいかりや長介の後ろで志村カトチャン工事ブーがベロベロバーしてて、長介が振り返るといつのまにかベロバーしてるのは志村だけ、というドリフの忍者(もしくは学校、もしくは軍隊）コントのように、みんながやらないような悪い事をやれば確実に目立つことができます。

もちろん具体的にどうすれば良いかわかってたら自分がとっくにやってるのでこうすれ！とはっきり言うことはできませんが、時代時代に許容される範囲での逸脱、というか、少なくとも１００年先に評価されるよりせめて数年後、できればすぐに評価されるような「良い按配の悪目立ち」が出来れば、人はそれをきっと「個性的な漫画」と呼び、それなりの利益をもたらしてくれるようになるでしょう。

良趣味悪趣味映画監督ジョン・ウォーターズの『クラックポット』というエッセイにある「名声を得るための十の近道」がとても参考になるので、それを自分なりに解釈して自己責任で実践すればきっとなんらかの道は開けるでしょう！

エンヤーコーラヤ / ドッコイチャンチャンコーラヤ...
というわけでおなじみのあの曲を聴きながらまた来週！ウソ！

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羽生生 純（ハニュニュウ ジュン）
漫画家　１９７０年生まれ　１９９２年デビュー

代表作
『アワヤケ』　『青 －オールー－』　『恋の門』
『１ページでわかるゲーム業界』　『ワガランナァー』
『サブリーズ』　『強者大劇場』

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