羽生生純の「漫画について答えよう」

プロになれる漫画家となれない漫画家の違いは?「漫画はウンコである」

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「漫画はウンコである」の巻

今回はちょっと趣を変えて、マンガナビ側から今月分の質問として送られてきたもの全部に答えたいと思います!いつものやり方じゃなくて反対の手をキンキンに冷やして、いつもとは違って足の間をくぐらせてまるで他人にやられているような気分を呼び起こすかのように。
決していつも書き殴っている無駄な前文のネタが尽きたとかじゃ決してありませんよ決して!

【ウサ】

私は何か人の心に残るようなことがしたいと思い立ち、現在漫画の描き方を勉強しています。
単刀直入にお聞きします。
先生が漫画家になろうと思った、一番のきっかけを教えてください。

いつも思うのですが、こういう「一番のきっかけ」とか「一番好きなもの」みたいな質問の答えがはっきり決まってる人ってどのくらいの割合いるんでしょうか。
こういう質問って、その時の体調とか直前にあった出来事、しばらく引きずってる出来事、その他様々な要因によって結構変化しちゃうと思うのですがそれって俺だけでしょうか?

この「漫画家になろうと思ったきっかけ」を、今思いつくままに列挙してくと

● 富と名声
● 自己存在を他者に認めてほしい
● ふつうの仕事をすると自分という「特殊」なパーソナリティが世間に埋没してしまうと思い、それを防ぐために目立つ職業を選んだ
● とにかく田舎を出たかったからそのきっかけとしてたまたま選んだに過ぎない
● 小さい頃から絵が好きだったから
● (上と同じ理由で)それしかやってなかったから他の職業を全うする自信がなかった
● 「仕事は?」と聞かれて「漫画家」と答えるとかっこよいのではないかと思ったから
● 単なる思いつき
● 運命
● わかりません

今ざっと書きだしたらこんな感じになったのですが、積極的な理由から消極的なものまで結構な振れ幅があり、一個一個考えるとどれも「ある」と思えるのですが、これって単なる優柔不断ということなのか、それとも正確に自分の考えてることを伝えようとした結果取りこぼしがないように全部拾ってって結果的に訳わかんなくなってるということなのか、自分でもよくわからんのです。
で「一番」と聞かれた時に体裁を整えるために無理矢理一つ決めるのですが、それはその時の体調や精神状態がかなり影響して、調子に乗ってるときは堂々と「富と名声」と言い切って平気な顔ができるのですが、諸々弱ってたりすると「特殊なパーソナリティが」とか言って煙に巻こうとするでしょうし、結局決めかねるという事態に陥ってしまうのです。
で、それをまとめようとすると、一番のきっかけは

「その答えを探すため」

みたいな、ちょっといい感じにまとまりそうな答えを探しちゃったりして、今思ったのですがこういう答えが「いい答え」って思うという思考パターンが「物語」を求めちゃう体質から来てるのではないか、と思ったりして、たぶんこういうことをぐちゃぐちゃ考えるのが基本的に好きだっつうのがこういう職業を選ぶきっかけになったような気もして、えーとまとまんなくなってきたのでふわーんと次へ。

【ど~ん】

羽生生先生に質問です!
プロとして商業誌でデビューできる漫画家と、そうでない人には分かりやすい違いはあるのでしょうか?
例えばコミケなどに行くと絵が上手い人は沢山いますし、面白いストーリーを考えられなくても原作を別の人に担当してもらえば良いんじゃないかと、漫画を描かない自分は考えています。
もちろん、持ち込みをするorしないとか、才能を認めてくれる編集の人と出会えるor出会えないといったこともあると思いますが何か根本的な違いというか(精神論でもいいのですが)何かがあるのでしょうか?
何作品も商業誌に連載された経験のあるプロ漫画家さんの意見を教えてもらえないでしょうか。
自分は●●したらデビューできた!でも良いのですが。
よろしくお願いします!

ここで私は「漫画=ウンコ」論をぶちあげたいと思います!
常々思っており、他にももっと上手くまとめて言ってる人もいるかもしれませんが、漫画とは個人の「思い」を他人に伝えるための「表現」であり、今までに世に出ている膨大な作品や他媒体の物語を参考に(時にはあからさまにパクり(でなければ知らずにパクり))自分の「思い」を頭の中から吐き出して他人に見てもらい、誉められたり貶されたり上手くいったらそれでお金を儲けたりする、というものだと思うのですが、これって何かに似てませんかそう「ウンコ」です!
ウンコも自分が生まれる前からこの世に存在している材料を体内に取り込んで咀嚼・分解し、自分の体調や生活環境に沿った排泄物として再誕生させるのです...これって漫画と同じじゃありませんか!

で全然質問との接点が見えないので焦ってるところですが、デビューできる人とそうでない人の違いというのは「自分のウンコを他人に見せることができるか」という点にあるのだ!ということを言いたいと思って書き始めたのですが上手く着地できるかさっぱりわかりません。

漫画にもいろんな種類があるようにウンコにもいろんな種類があります。
ふつうの人と同じものを食べていればふつうはふつうのウンコしか出てきません。しかしある日ものすごく太くて固くて流れないウンコをしたとき人はどうするでしょうか?

そう誰かに見せたくなるのです!

そして「うわ太!」とか「どんな肛門してんの?」などと他人の客観的な意見を聞いたとき、自分の体を心配して「ふつうのウンコが出るようにしよう」と思うか、「よっしゃ次はどんなウンコしてやろうか」と思うか、どちらを選ぶかによってその人の道は決まります。
次に青汁を山ほど飲んで緑色のウンコをしたりする人は完全に漫画家になりたいタイプです。こうなったら目の前には無限のウンコが広がっています!
他人のウンコに憧れて全く同じウンコをするべく同じものを食べて同じ行動をとって、それでも同じウンコが出なくて落ち込んだり、食べたものに当たって下痢が続いたり、よく噛み砕いて食べなかったばっかりにウンコにコーンがまんま入ってて恥ずかしい思いをしたり、前日までの摂取量を遙かに上回るウンコが出てびっくりしたり、人によっては人間の食べ物以外のものを食べて全く別次元のウンコをする人もいて、それは「天才」と呼ばれるでしょうがすぐに体をこわしてしまうでしょう、自分のウンコを食べて同じウンコを出し続けるという人もいます、大勢で同じウンコを出すという団体演技もあればウンコの仕方がかっこよくて脚光をあびるというパターンもあるでしょう...

どうですか!もう漫画がウンコにしか思えなくなってきたでしょう?
なんかまとまったのかしくじったのかよくわかりませんが、とにかくウンコを他人に見せる、じゃなくて漫画を他人に見せることを前提にするかしないかで差が出てくるのではないかと思います。

【未来】

はじめまして。
こちらのコラムをいつも楽しみにして拝見させていただいてます。
いつも読むばかりでしたが、せっかくですので質問させてください。
ここ数年、リメイクされた漫画作品が出てきておりますが、もし羽生生先生が、漫画のリメイクするとしたら、誰のどの作品をリメイクしてみたいですか?
是非とも教えてください。
だんだんと寒い季節となってきましたがどうぞお体に気をつけてがんばってください。
それでは失礼いたします。

リメイクですか全然想像だにしてませんでした。
前回原作付きについて書いたのですが、リメイクというのも小説や映画などの他媒体からではなく同媒体である漫画の原作付きということだと思います。
たとえば漫画を単なる物語して捉えれば、その物語だけを抽出して自分の絵に変換し自分の見せ方で再作品化する、ということになると思うのですが、私の今の気分は漫画って絵と話が渾然一体となってひり出されたウンコなので、それ以上手を加えることができるのかわからん、というおそれがあるのです。いくら自分がひっても同じウンコになっちゃ意味が無いので、現時点では人様のすばらしい完成されたウンコを食い直して新しいウンコにする自信ができればやると思いますが、現時点では自分のウンコで手がべっとりな感じです。

【マンガ大好き!】

漫画専門学校へ通ってます!
もし!羽生生先生が漫画を教える先生だったら、すっごい!たのしいイメージなんですが。
どんな授業をするのでしょうか?
凄い気になります。
教えてくださーい。

全く楽しくないと思います。

もし今の立場で漫画を教えるようなことがあれば、いわば同業者というか同じパイを食い合うことになる敵を育てることになるのですから、みんなに「ジャンプに持ち込め!」とメジャー指向を植え付けて(そもそも今どの雑誌が売れてるのか知らんので「ジャンプ」っていうのも的外れかもしれませんが)ビームとかに持ち込むような人を極力減らしていくと思います。
なので「売れなきゃ漫画じゃない」とか「漫画企画はアニメ化を射程に入れるのか基本」とか「いかにヒット作を自分のもののように取り込むか」とかいう授業を......

ってそれってものすごく役立つ授業ってことか?
むしろ自分で受けたい授業ってこと?
それ誰か教えて!!!!

...あウンコしなきゃ(いろんな意味で)。


質問はコチラまで

羽生生 純(ハニュニュウ ジュン)
漫画家 1970年生まれ 1992年デビュー

代表作
『アワヤケ』 『青 -オールー-』 『恋の門』
『1ページでわかるゲーム業界』 『ワガランナァー』
『サブリーズ』 『強者大劇場』



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