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しりあがり寿が『マンガ入門』で伝えたかったこと-その1-売れる物を描くために必要なこと

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ある日、編集の人が来て「書け」って言われたから書いただけなんですけれども(笑)---
「表現したい人のためのマンガ入門」 しりあがり寿

しりあがり寿が語る『マンガ入門』で伝えたかったこと

しりあがり寿 (しりあがりことぶき)
1958年、静岡市生まれ。
多摩美術大学グラフィックデザイン専攻を卒業後、キリンビールに入社。
宣伝やパッケージデザインや商品開発を担当。
チームの一員として手がけた〈一番搾り〉が大ヒット。
1985年、会社員の傍ら「エレキな春」(白泉社)でプロ漫画家デビュー。
1994年、退職。専業漫画家となる。
2000年、「時事おやじ2000」(アスペクト)、「ゆるゆるオヤジ」(文芸春秋)にて第46回文芸春秋漫画賞を受賞。
2001年、「弥次喜多 in DEEP」(エンターブレイン)で第5回手塚治虫文化賞「マンガ優秀賞」を受賞。

しりあがり寿作品はコチラ!

「表現したい人のためのマンガ入門」 しりあがり寿

「時代の空気」というべき「ナニカ」がないとモノは売れない

レンタルや電子コミックなど新しいマンガ流通の流れや、国際漫画賞の設立などマンガをめぐる新展開が話題の昨今
。 さまざまな表現活動と平行して、マンガ表現の現在と未来についての新書を昨年執筆された、マンガ家しりあがり寿さんに「マンガの現在と未来」について直撃インタビューしました。

「表現したい人のためのマンガ入門」

21世紀の自己表現法。自分をプロデュースしてみよう。
マンガやイラスト、映画において成功のかなりの部分は「売れる」ということ。
描きたいことを描いて、しかも売れるにはどうすればいいか、マンガだからできることとは何か。
多様なマンガ表現を追究する著者が説くマンガ入門書。

●本著の出版の経緯について

――なぜ今、このマンガ入門を書こうと思ったのですか?

ある日、編集の人が来て「書け」って言われたから書いただけなんですけれども(笑)。
あとは、学校で先生とかやりはじめて、美大で教えたりいろいろ感じていることをまとめる時期が来たのかなぁということもあってですね。
実際、始めてみたら「マンガ入門」とはいうものの、どうやって書いたらいいか皆目わからなくて。
編集者が「自分のことを書いてもいいです」と言うから、自分がこれまでやってきたことをたどりつつ書いてる中で、たぶん汎用性のある内容も入ってくるだろうと思って書いたんですけどね。
やっぱり、マンガに限らず、モノを創っているなかで「売れる売れない」という格闘というのは、無視して考えられませんよね。
マンガとかを教えるとき、絵がうまいとか、テーマとか、アイデアがいいとか評価するのはできても、それと売れることって違う次元のことじゃないかと。
面白いマンガを一生懸命描くというのと、市場でそれが受けいれられるというのは、重なっている部分が大きいけれど、実は違うルールで動いてるかもしれなくて、その境目は何なのか自分でもよくわからないし、それがわかってたら自分の作品もきっと売れてると思うんだけど(笑)。
ただ、その売れる売れないの境目というものが「ある」ということを、誰かがきちんととりあげてあげないとなんかウソ臭いでしょ。
自分を信じていいモノを描くとか、作品の完成度をあげるとかそういう努力は大切だけど、マンガ家として生きていくにはそれで100%じゃなくて、どうしても市場のメカニズムとかが入ってきちゃう。
そういうもんだと思ってやらないと。
じゃぁ、売れるものを書け、という話ではないんですけどね。
売れるものを描こうとして、それが売れるほど単純じゃないし、かえってそんなこと考えない方が売れたりするんだろうけど、その問題って避けて通るには大きすぎるんですよ。
美大とかで教えてると、売れる売れないという話は出てこないし。
もう少しその問題について触れておきたかったなと。
もっとも、ボク自身全くその問題を解決してるわけではないですけどね(笑)。

「表現したい人のためのマンガ入門」 しりあがり寿

ギャンブル性が高まってきた今こそ、「ケダモノ」を育てよう

●マンガ表現の前に

――「ヘタウマムーブメント」という絵の幅の広がりや、CGの普及によりプロへのハードルが低くなった昨今。
プロになるための技術や訓練のハードルが低くなった=売れるためのスキル的なセオリーがなくなってしまった、ということを書かれていますね。
これからはむしろ「自分の中のケダモノと調教師」が大切だということで、マンガ家を目指す後輩に対して、今後の創作面での課題があれば教えてください。

そうですね。
特に大切な自分の中のケダモノを育てるためには、いろんな体験、作品を読む体験とか、まず自分自身が心を動かされるような実体験が必要ですよね。
自分が心を動かされたものを人に伝えるわけだから。
ともすれば今の時代、実体験というよりバーチャルな体験に偏りがちな気がするんですよね。
マンガ全体を見てると、もう雑誌が売れないし、単行本も売れる売れないがはっきりしてきてる。
学生に「面白いマンガは何?」と聞いてみると、90年代あたりのちょっと前のマンガなんですよ。

――本書でも、好きなマンガ誌のアンケートをとると1位は必ず、ダントツで「ジャンプ」だとありますね。

そう。
売れるものの集中化というか多様性がなくなってきてるなぁと感じますね。
もちろんこれは、自然淘汰だとかマンガが成熟したんだとか肯定的な評価もできるけど、心配性のボクとしては(笑)。
一見盛んそうに見えるマンガなんだけど、その根っこを張ってる部分が案外狭くなっている気がちょっとしたんですね。
今、描かれてるマンガの内容が、以前あった作品のテーマや設定の繰り返しであったり、逆にマンガを好きな人じゃないと理解できないような内容であったり。
それ以外の人にとっては関心の領域外というような。
外の、一般の世界ではいろんなことが起きているのにマンガで描かれてる世界というのは相変わらず他愛もないことだったりしますよね。
まぁ、みんなマンガに対して立派なものを求めていないというのもありますが。
マンガがなんでウケるかというと、活字のように一度文章を読みとかなくてもスッとキモチに入ってくるわかりやすさだと思うし、そこには暇つぶしに適してる側面もありますよね。
そんななかで、表現の根っこみたいなものが偏ると将来的には健全じゃないような感じもします。
みんながいろんな経験をつんだりマンガ以外のものを読んだりして、そこから逆にマンガの世界に持ってきてほしいという感じですよね。

――今月号のダヴィンチに掲載されてる「お~い、メメント・モリ」でボーイズラブについて描かれていますが、根っこを育てるという点ではどうなんでしょうか?

いやぁ~、これはこっちが勉強しなきゃいけない部分ですね(笑)。
これは巨大なニーズですからね。

――本書の中に触れられていた、学生時代に描いた「シリーズはたちマエ長い夜」について教えてください。

ここにありますよ、そのマンガ。
同人誌で出しましたけど、今、読むとくだらないなぁ(笑)。
当時、スクリーントーン買えなかったから貼ってないところもあるし。
かいつまんで話すと、学生時代って空しいじゃないですか。
宗教とか自分が依って立つものを選ぶか、何も考えられないくらいに忙しく立ち振る舞うか悩んでた時期があって。
この作品は、俺は宗教の手は借りないぞという決意表明のマンガでした。
ラストシーンは自分一人がコマみたいに(宗教の手を借りずにたった一人で忙しく)回っているというところで終わってます。
見た目ヘナチョコですが、一応まじめな気持ちで描きましたし、思い入れも深いマンガですね。



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