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しりあがり寿が『マンガ入門』で伝えたかったこと-その2-「表現したい人のためのマンガ入門」の背景

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今、新しくマンガに参入してきている人たちって、動機がビジネスのところもありますよね--
「表現したい人のためのマンガ入門」 しりあがり寿

しりあがり寿が語る『マンガ入門』で伝えたかったこと

マンガは「動機」が大切なのだ

レンタルや電子コミックなど新しいマンガ流通の流れや、国際漫画賞の設立などマンガをめぐる新展開が話題の昨今
。 さまざまな表現活動と平行して、マンガ表現の現在と未来についての新書を昨年執筆された、マンガ家しりあがり寿さんに「マンガの現在と未来」について直撃インタビューしました。

「表現したい人のためのマンガ入門」

21世紀の自己表現法。自分をプロデュースしてみよう。
マンガやイラスト、映画において成功のかなりの部分は「売れる」ということ。
描きたいことを描いて、しかも売れるにはどうすればいいか、マンガだからできることとは何か。
多様なマンガ表現を追究する著者が説くマンガ入門書。

●現在のマンガ産業について
――マンガ雑誌の売上を単行本が抜いたり、無料コミック誌創刊、レンタルコミックをツタヤ、GEOが開始するなどマンガの読まれ方が大きく変わってきてます。
そんなマンガ界の新しい潮流に何か期待をする点などは?

う~ん、あんまりないんだよね。
今、新しくマンガに参入してきている人たちって、動機がビジネスのところもありますよね。
根っこが大事という点からすると、従来のマンガ出版には、新しいモノを創ろうという気概のようなものが動機としてあった気がして。
動機がビジネスというのはどうなんだろうなぁと。
でもお金が儲かって、それでさらにいろんなマンガが出てくる土壌が潤うのだったらイイ話ですね。

――麻生大臣の音頭による国際漫画賞については周りのマンガ家さんで話題になりましたか?

マンガ関連の賞が増えたねぇと言ってますよね。
マンガが今もてはやされている感じですけど、マンガをこれまで育ててきたものっていうのは、激しい競争だったり、作り手や送り手の志だったり、ハングリーさだったりしましたからねぇ。
もてはやすってこと自体どうなのかなぁ。
でも、賞とかベストセラーだけじゃなく、こんなマンガもあるんだよ、なんて知らす機会になるといいですね。
以前、外国の研究家の方に、マンガがなぜ今、世界中で読まれているかという話をお聞きしたんだけど、海外の人にとってもわかりやすくて子供もすぐ読めるという点、あんまりいい言葉じゃないけど表層的だという点。
つまり、暇つぶしのメディアとしてすごく便利だし、ぱっと見てわかりやすいと。
でもそれって、なんか、あんまりうれしくないよね(笑)。
日本みたいに子供のマンガからはじまって、深い多様性のあるマンガが読まれるようにに広げていきたいところなんですけど、実際はそうなってはいないかなと。
逆に、子供向きというか、幼児性を世界に広めてる気がしますよね。
でもまぁ、読者が読みたいんでしょうから、しょうがないか、世界中の読者が(笑)。
今は、売れる売れない以外の基準がないからしょうがないんだけど、それにしても流行モノをそのまま受け入れるのではなく、疑うというか批評性のようなものがどこかで必要だと思いますね。
まぁ、いいけど。
俺の知ったこっちゃないし(笑)。

――そのわりには、マンガ文化は日本の誇りというような、マンガに「NIPPON」という冠をつける流れが強くなってきますよね。
マンガが明治時代の鉄鋼産業みたいな国策産業になるような気配は感じますか?

そうかもしれないよね。
まぁ、もうしょうがないよね。
ハリウッドもそうだけど、量とか大衆が求めるものにお金が集まり、主流になっていく流れは止めようがないですから。
でも、マンガがビジネスとして潤ったら売れないマンガ家にも少しはお金が回ってきたりするしね。
そういう意味ではがんばってほしいと思うけど、一辺倒にはならないでほしいな。
何かに盲目的に熱くなる流れが性格的に苦手なんで。

「表現したい人のためのマンガ入門」 しりあがり寿

「マンガノナカ」より「ヨノナカ」のほうが面白い

●マンガ社会学 ~マンガの世代論と未来について~
――マンガというジャンルの中で、団塊世代とか団塊Jr世代とかっていう世代間の好みとか世代の差って感じますか?

う~ん、よくわからないな。
でも、周り(の同じ世代)は結構、ガンダムがみんな好きですよね。
戦記モノ要素もあるっていうか。
海外の人はみんな自国の歴史や戦争の話に興味があるじゃないですが。
僕も子供のころ、戦記とかゼロ戦とか好きでしたし、特に男の子って戦争の話が好きだったり興味が強かったりしますよね。
日本の場合は複雑な事情で、外国にくらべて、歴史・戦史と今の繋がりの部分がすっぽり抜けてる気がしますね。
日本の場合、戦前の歴史とか太平洋戦争をエンターテイメントにしにくくて、その代わり自分たちの戦史としてのガンダムがあるのかもしれない。
世代といえば、80年代になっていわゆるヘタウマとか、逆に江口さんとか大友さんとか絵がうまい人が出てきてマンガのイメージがカッコイイ方に変わりましたよね。
今思うとそれが世代というか時代のポイントだったのかなぁと。

――画風のスマートなマンガ家たちの活躍により、視覚的表現技術の進歩に加えて、テーマの深さや多様化にともなって読者層も大きく広がったと書かれているところですよね。

うん、当時はキャラクターや絵とかデザイン的なインパクトもかなりあったし。
しかし、いまだに思い出すのは25歳ごろ、80年代でしたけど、会社の人たちがアニメの話をしてるのを聞いてびっくりしたこと。
「おいおい、大人になってアニメの話するのかよ」って(笑)。
当時はまだ、そういうものってサブカルチャーだったし、大人が子供のもの(と思われているもの)をよく知ってることに対して盛り上がる気分と自嘲的な気分とがセットでしたけどね。
でも、今の世代の人にとっては普通のこと。
知識を誇りにしたりして。
そういう意味ではカルチャーショックがありましたよね。
サブカルチャーもいろんなものがあって、サブカルチャーの原動力は「それをまじめに勉強するかよ」とか「おいおい、歌謡曲で1冊本出しちゃうのかよ」というところ。
その驚きの段階が面白いんであって、それが普通に受け入れられてしまったら、運動としてのオモシロサはなくなるのかもしれない。

――最近、ご自身の創作活動でインスパイアされたマンガ以外の好きな小説・音楽・映画などは?

最近はあまりないね。
しいて言うと、子供がまだ小さいので子供をみていると楽しいです。
エンターテイメントの中で新しいとかインスパイアされたなぁと感じることはあまりないですよね。
世の中の問題とか環境とか社会問題のほうが面白いしスリリング。
それに比べるとエンターテイメントなんていうのは「相変わらず恋愛かよ」というつっこみが入りますよ。
でも、そーゆー先入観はボクがいろいろ読んでないせいだろうね。
決めつけるのはいけません(笑)。

しりあがり寿 (しりあがりことぶき)
1958年、静岡市生まれ。
多摩美術大学グラフィックデザイン専攻を卒業後、キリンビールに入社。
宣伝やパッケージデザインや商品開発を担当。
チームの一員として手がけた〈一番搾り〉が大ヒット。
1985年、会社員の傍ら「エレキな春」(白泉社)でプロ漫画家デビュー。
1994年、退職。専業漫画家となる。
2000年、「時事おやじ2000」(アスペクト)、「ゆるゆるオヤジ」(文芸春秋)にて第46回文芸春秋漫画賞を受賞。
2001年、「弥次喜多 in DEEP」(エンターブレイン)で第5回手塚治虫文化賞「マンガ優秀賞」を受賞。



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