マンガ国際コンペのお仕事-フィーゴマンガで結核根絶!ストップ結核パートナーシップ日本の鈴木幹久
掲載日:2008.03.13
マンガ国際コンペのお仕事
【サッカー】フィーゴマンガで結核根絶!
今年1月、国際機関などで作る「ストップ結核パートナーシップ」は、世界的に有名なサッカー選手ルイス・フィーゴ氏を「ストップ結核大使」に任命し、同選手率いるチームが結核菌チームと戦うというストーリーの漫画国際コンペの開催を発表しました。審査員には、マンガ好きで有名な麻生太郎元外務大臣や京都国際マンガミュージアムも加わり、漫画大国日本が全面的に協力する世界的なマンガ国際コンペになります。そこで今回は、当コンペを企画主催しているストップ結核パートナーシップ日本の鈴木幹久さんにお話をお伺いしました。
鈴木幹久 プロフィール
神戸大学経済学部卒業。メディア・コンサルタント会社Public Affairs Research& Consulting Inc.入社。IT企業、非営利セクター、動物園などのメディア・リレーションを担当。2006年ボランティア活動で参加していたNGO日本リザルツに入社、広報担当。世界的な貧困の解消、特に忘れられがちな病気といわれる結核の普及啓発を担当。2007年、ストップ結核パートナーシップ日本設立準備委員会に参加。現在、ストップ結核パートナーシップ日本事務局長(日本リザルツより出向)。
ストップ結核パートナーシップ日本は2005年、
結核のない世界が実現するために結成された連合体。
ストップ結核パートナーシップ日本
マンガ公募ニュース
結核に関する啓発マンガ 国際コンペ
ストップ結核大使
ルイス・フィーゴ
結核撲滅にフィーゴが立ち上がった
――ルイス・フィーゴ選手がストップ結核大使に就任し、フィーゴ選手を主人公にした結核啓発マンガの国際コンペの開催が決まりましたが、まず結核という病気の現状について教えてください。
結核は世界中で深刻な問題で、まったく終わっていない病気なんです。日本では古い病気のイメージがありますが、世界中で1ヶ月に約4400人が結核が原因で亡くなっています。日本で感染される方も年間約30000人いまして、死亡される方も年間約2300名以上いらっしゃいます。感染症ということで空気から感染するので、人にうつる病気としては、実はエイズより感染者が多い病気なんです。発展途上国などでは結核が治るということがあまり知られていません。人にうつるということも知られていません。家でそのまま感染して、それが家族にも感染する。薬を飲めば治るという情報を知らないがために、悪循環に陥っています。結核は治る病気ということを伝えたい、それで今回の企画を立ち上げることになりました。
――フィーゴ選手はどういった経緯で大使に選ばれたのですか?
まず、サッカー選手だからよくて野球選手だとだめなんです。例えばヤンキースの松井選手でもよいのですが、世界的なスポーツということを考えるとやはりサッカーということになります。感染者の多いアフリカ、アジア、南米など世界中で感染者がいますので、北米や東アジアなど一部の地域だけではなく世界中で有名な人がいい。サッカーで有名な人ということで、フィーゴ選手にということになりました。フィーゴ選手自身、財団を運営しボランティア活動を行っていましたので、今回の大使就任の依頼を快く引き受けてくださいました。
ルイス・フィーゴ選手 コメント
「結核は、人生というゲームにおいて最もアンフェアなファウルの1つだと考えています。危険な病気と闘う世界的な戦いになりますが、全力で挑みたいと思います。」(ルイス・フィーゴ)
――結核啓発を伝える媒体として何故、マンガが選ばれたのでしょうか?
文字でもよかったのですが、世界では文字を読めない人が数多くいます。テレビという媒体も視聴できる層が限られていますし、やはり直接手にとってもらえるということで、紙媒体を選びました。世界中に配布し、いろいろな言語に翻訳する中で、せっかくフィーゴが大使になるのでビジュアルのほうがいい。写真でもいいんですけど、マンガにしないと結核とフィーゴが結びついてこないのです。マンガだと青少年が手にとりやすい、そういうところで、マンガの伝える力はかなりあるんじゃないかということで、ストップ結核パートナーシップの本部で決定しました。
麻生太郎元外務大臣、そしてマンガ先進国日本が全面バックアップ
――マンガということで日本の役割も大きいのではないですか?
はい、本部から名指しで京都国際ミュージアムにも協力してほしいとか、原稿の規定など、マンガ先進国である日本にいろいろと相談されました。
――日本も国として全面的にバックアップされますね?
そうですね。もっとバックアップしてもらいたいんですけど(笑)
――麻生太郎元外務大臣が審査委員になられた経緯を教えてください。
麻生太郎元外務大臣はマンガ好きということで有名でしたので真っ先に依頼しました。
実は今、政局的に大事な時期らしくてお忙しかったのですが、この企画は日本の国際協力において重要で、日本の誇るべきマンガであるという点で快く引き受けてくださいました。
麻生太郎議員 コメント
日本は結核対策において、世界でも類まれな成功の歴史を誇るが、日本のマンガ文化もまた、世界に誇れる多彩な才能に恵まれている。プロ、アマチュア問わず、ぜひ日本のクリエイターにコンペに参加していただき、その技術と才能を世界にアピールしていただきたい。少なくとも6つの国連公用語には翻訳される予定だそうだが、これほど大規模に世界的に読まれる作品を手がけるチャンスはそうはないはずである。
――応募された作品の発表の場については?
優勝者は2008 年4 月にモスクワで開催されるロシア連邦政府主催のマンガフェスティバル「コミッシア国際マンガフェスティバル」にて正式に発表されることになります。
このマンガは6ヶ国語に翻訳され(英語、フランス語、ロシア語、中国語、スペイン語、ポルトガル語、アラビア語)、関係機関を通じて世界中に配布されます。また、来年作品が入れ変わるということはありません。ずっと同じ作品を配布する予定です。日本でも日本語に訳して出版を行う予定です。
――応募者への期待やメッセージをいただけますか?
優勝者の方は5000ドルもらえますから、ちょっとしたお小遣い以上のものにはなりますし、なにより、マンガということで日本人が優勝する確率は非常に高いと思います。
我々も日本の作品が選ばれるように後押しします。フィーゴもこのマンガを必ず読むので、サッカーファン、フィーゴファンの方にもぜひ応募してもらいたいですね(笑)
編集後記
元々、会社員でボランティアから始められて現在に至った鈴木さん。結核撲滅という大きなテーマで取り組む姿は、フィールドを華麗なドリブルで走りつづけ人々を魅了する、ルイス・フィーゴのその姿と重なりました。
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