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漫画原作者のお仕事-山田隆道第4回-作家の卵たちに対する苦言・提言・アドバイス

掲載日:2008.11.27

漫画原作者のお仕事 山田隆道 パート4

漫画原作、コラム、エッセイ、そして小説と多岐に渡って文筆活動を展開する山田隆道さん。
彼が今日のポジションにたどり着くまでにはどの様な道のりがあったのか?
そして、創作活動における信念は何なのか?
貴重なお時間をいただき敢行した全5回の超ロングインタビュー。

多忙なスケジュールのなか次々と作品を生み出しつづける山田さん。
その創作活動には信念に基づいたライフスタイルがあった!
第4回は、作家の卵たちに対する苦言・提言・アドバイスを含めた山田イズムをお届けします。

山田 隆道 山田 隆道
漫画原作家・コラムニスト・エッセイスト
大阪府出身。清風南海高校、早稲田大学卒業。
ユニット「あおい」として漫画『彼女色の彼女』『リサーチャー』『借金カノジョ』などを発表。
さらにコラムニスト、エッセイストとしても活躍しており、数多くの雑誌などでエッセイの連載を抱えている。特にプロ野球(阪神ファン)には造詣が深く『ベースボールマガジン』や『ベースボールタイムズ』などの野球雑誌で連載を抱えるほか、その他のメディアにも出演や寄稿が多い。別名「80年代プロ野球をこよなく愛する男」。
また、テレビ・芸能界の事情にも精通している。
山田 隆道 Official Blog 山田 隆道 Official Blog

あおい 【What's あおい】
渡辺啓と山田隆道による作家ユニット。
まったく異なる2つの個性が絶妙な化学反応を起こし、漫画原作、映画ドラマ、単行本、舞台など様々なジャンルの作品を'雑貨屋'の如く生み出していきます。
オフィシャルホームページ

【漫画】
彼女色の彼女』(あおい名義 / 幻冬舎)コミックス1~2巻発売中
彼女色の彼女 (1) / あおい , やしき ゆかり 彼女色の彼女 (2) / あおい , やしき ゆかり
リサーチャー』(あおい名義 / 幻冬舎)コミックス1巻発売中
リサーチャー (1) / あおい , 箸井 地図
『借金カノジョ』(あおい名義 / 幻冬舎)VISIONCASTにてドラマ版配信中!
VISIONCAST  VISIONCAST VISIONCAST

【小説】
『赤ラークとダルマのウィスキー』(ベースボールタイムズにて連載中)

【コラム・エッセイ】
山田隆道の11AM@三軒茶屋』(月刊チャージャー)
山田隆道のにわかでゴメンよ!』(WebMagazine格闘王国)
『野球相伝』(ベースボールマガジン
『山田隆道の男ヂカラ』(月刊クールトランス
『山田隆道の勝手にテコイレTV』(月刊エンタテイメントダッシュ
『山田隆道のR35エンタメレビュー!』(月刊エキサイティングMAX
『ちょっとダメ系?B型男子』(マイコミジャーナル)12月12日から連載スタート!
山田隆道のブログに茶々々!』(スポーツナビ)
『山田隆道のスポーツ茶々々!』(PC fan)1月から連載スタート!

【書籍作品】
『芸能界超ウルトラおバカ名鑑』(ぶんか社)2009年1月上旬発売予定!
SMACKGIRL OFFICIAL BOOK 2000-2006』(インセンス出版)プロデュース

僕はよっぽどオタクなんだ

―― コラムやエッセイで扱っているテーマが「野球」「格闘技」「テレビ」「芸能」など、ご自身の得意な分野や好きな分野とのことですか、多岐にわたるジャンルの情報をどのように収集しているんですか?

意識的にニュースをチェックするといったことはないですね。
それと、僕は自分自身にバックボーンがないものについて意識して勉強してまで扱いたいという感覚はないんです。
というのも、新たに勉強を始めたとしても仕事として通用するまでに5年、10年必要だと思うので。
今、仕事として扱っている分野は10年前、20年前から興味があったものですね。
バックボーンが無いものはリアリティが無く、付け焼刃の知識ってダメじゃないですか。
そう考えたときに、野球はスーパーオタクだったんです。
あとは格闘技も好きですし、テレビや芸能に関してはその仕事をしていましたからね。
元々の知識が人よりあったんです。

野球に関しては『週刊ベースボール』のインタビューを受ける機会があったんです。
『週刊ベースボール』といったら、野球雑誌では老舗中の老舗でね。
野球メディアの王様と言われているベースボールマガジン社から出ているわけですよ。
そこの編集者と話をしたときに、僕はそれまで特に野球の勉強をしたわけじゃなくて単純に好きだったんですけど、編集者に「すごく詳しいですね」って言われたんです。
そのときにベースボールマガジン社の人に言われるってことは僕はよっぽどオタクなんだと。
それまで意識して勉強していたわけでもないのに。

そうしたら、ベースボールマガジン社にすごく気に入ってもらって連載が始まったんです。
ベースボールマガジン社で評価を受けると、他の関連誌からの信用が得られるんです。
そこから、バーッと仕事が増えていきました。
そうなってからですが、ちょっとだけ意識して野球だったり格闘技などは見るようにしています。
それぐらいですね。

家から出る

―― 今、仕事で書かれている分野以外で好きなものはありますか?

音楽です。

―― 音楽について文章を書こうという気持ちはありますか?

あります。
どこかの雑誌で、芳野藤丸さん(SHOGUN)と僕がJポップを切るといった対談形式の月刊連載を始めたいですね(笑)。
例えば、紅白歌合戦の出場メンバーが決まったら「将軍様に聞けっ!」みたいな企画です。
「将軍様ー!将軍様ー!紅白メンバーを将軍様どう思いますか?」
「うーん、これは...」
「○○がいませんが...」
「やっぱり暴力団絡みか?」
みたいな感じでJポップを批評していきましょうみたいな連載を始めたいですね(笑)。

―― 仕事をする際の基本的なスケジュールは決まっていますか?

決めていますね。
基本は決まらないんですけどね。
執筆作業が中心なんですが、打ち合わせがあったり、インタビューがあったりするので、大まかな部分は決めています。
こういう仕事をしていると仕事とプライベートがグチャグチャになって線が引けなくなるので精神衛生上良くないんです。
だから、基本的に家では仕事をしないんです。
どうしようもないときには家でも仕事をしますが。

僕は朝起きて、顔を洗って、コーヒーを飲んで、服を着替えて、家から出るっていうスタイルを意識しています。
仕事とプライベート、オンとオフを切り替えるとしたら、家を出るのがオンなんですよ。
そこから僕のオフィス「喫茶室ルノアール」へ移動して仕事を始めます。
ルノアールはコンセントが使い放題。
ルノアールに着くと、奥の座席に座ってコーヒーを一杯頼むわけです。
ルノアールはコーヒーを飲み終わるとサービスでお茶を出してくれるんです。
お茶を飲み終わるとまたお茶を出してくれるんです。
熱いサービス精神なんですよ。

ハイ!本番!

ずっといると飽きてくるので、昼食を食べるついでにルノアールを出ます。
食後は違うルノアールに行く場合と、また同じ店に戻る場合があります。
山手線って不思議でどこの駅で降りてもルノアールがあるんです。
ルノアールのCMがもらえるくらい使っています。

こういう仕事は会社員じゃないし、芸能人とか役者さんとも違って「ハイ!本番!」みたいなものがないんですよ。
だから、自分のなかで「ハイ!本番!」みたいなものを作りたいんです。
それがあると、精神衛生を保てるんですよ。
ミュージシャンがスタジオに入るのに近いのかも。
作曲をするときに、今だったら自宅でコンピュータを使ってできるじゃないですか。
それでも、スタジオに入るのは結局オンとオフの切り替えだと思うんですよね。

人間ってやっぱりそれがないと本当にびっくりするぐらいダラダラして、仕事もはかどらないし。
抑止力が必要なんです。
家だとベッドがあって、漫画があって、テレビがあって。
結局、昼寝であったり、サボったりするわけです。
そういう煩悩に対する抑止力っていうのは、外に出ることなんですよ。
なぜなら人の目が気になるから。
これは絶対、そうだと思いますね。

―― 一週間でどれぐらいの文章を書かれるんですか?

週によって違いますけど多いときは、一週間で原稿用紙300枚とかですね。

―― エッセイは書きやすいとか、シナリオは書きやすいとかあるんですか?

一番早いのはエッセイです。
『Web Magazine 格闘王国』で連載しているエッセイは早いときは1時間で終わりますね。
あれは原稿用紙6枚ぐらいですね。
怒っているときも早いですね。
怒っているときは、いっぱい文章が浮かんできます。
だから早いんじゃないかな。
平均的なスピードは無いです。
遅いときは全然書けないし。
そんなときは締め切りを意識してやる。

徹夜仕事をしたくない

天から降ってくると言う人もいますが、そんな才能が僕には無いので雑巾を絞って出す感じです。
カラッカラッなんですよ。
夏休みと一緒で9月1日までの宿題を8月31日にやっている感じです。
締め切りがユルユルの時は、びっくりするぐらいに仕事をしませんから。
そういうときに、率先して仕事しようという考えはないです。
ただ、おかげさまで今は仕事の本数が多いので締め切りが無い週が無い。
1日で2本重なっている場合もあるし。
結局、何だかんだで毎日原稿を書いていますね。

―― 息抜きでされている事はありますか?

酒ですね。
むしろ酒ぐらいしかない。
僕は徹夜仕事をしたくないんです。
あんな能率の悪いことはないし、人は寝ないとダメだと思っています。
仕事っていうのは、できる限り遅くても22時、23時には終わらすべきだと思っています。
それでも終わらないんだったら翌日にまわす。
本当に締め切りに間に合わない場合には仕方なくしますけど。
相手に迷惑をかけないのが前提ですからね。
でも、なるべくそうするようにスケジュールを組んでいます。
だって、仕事の後の酒は美味いですからね。
そこが息抜きなのかな。

あとは人と喋るときかな。
人と喋らない仕事なんですよ。
ひどい時はマネージャーとしか喋らないですもん。
しかも業務連絡。
だから、仕事が終わって呑みに行くときは基本的に店員さんと仲の良いところしか行かない。
あとは誰かを捕まえる。
「聞いて―!聞いて―!」って感じで、喋りたい自分が爆発します。

寝ないで仕事していることで悦に入っている人

―― 体調管理でされていることはありますか?

睡眠ですね。
不眠症なので、寝られないことが多いんですけどね。
とにかく寝る。
何とかして寝る。
よく寝ないで仕事していることで悦に入っている人がいるでしょ。
あれは本当にいいのか?
全く良いとは思わなくて「寝ろよ!」って思います。
寝ないと絶対良いものができないじゃないですか。
僕も昔は憧れていましたけどね。
二十代前半ぐらいかな。
有名な先生が寝ないで原稿書いているのを格好いいと思っていたんですよ。
「俺スケジュール真っ白なんだけど...」みたいなときに、そういう姿をみると憧れるじゃないですか。
だから、忙しくなりだしたとき「寝られない俺って文豪みたい、格好いいかも」って感覚があったりして、そういう事をしていました。
昔の芸人さんの逸話なんかで何十時間もぶっ続けで酒を呑んで、仕事をして、いつ寝ているんだ?みたいな感じで。
それに憧れて僕も真似しようとして、朝5時まで酒を呑んで、そのまま6時からベロンベロンで仕事をしたりしたんです。
でも、全然ダメだったんですよね。
そこで、徹夜しても仕事を頑張れる人は天才なんだなと思いましたね。
だから、キッチリ寝ましょう。

若い人たちに言いますが、天才なんて本当にいないんですから。
まずは自分が凡人だと自覚するというのが第一歩です。
「自分が天才」って思った時点で、それ以上進めないから。
若い頃って根拠のない自信を持っちゃうでしょ。
「俺、才能が絶対ある」みたいに。
それは違うと。
才能がある奴なんて殆どいないんだから。
みんな凡人なんだから。
自分は何者でもない60億分の1なんだよ、所詮は。
そういう風に大した人間じゃないんだよって。
それを知って初めて勉強できるんですよ。
そんな凡人が有象無象な世の中を生きていくにはどうすればいいのか、一所懸命考えるんですよ。

作家 山田隆道を構築する源は何なのか?
作家 山田隆道の最終的な目標とは何か?
いよいよ最終回となる次回は、山田さんのパーソナルな部分に迫ります。


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