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マンガ専門ニュースサイト編集長というお仕事-「コミックナタリー」その2-新聞の文化面からポップカルチャー領域を奪いたい

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新聞の文化面からポップカルチャー領域を奪いたい

約半年という短い期間で、マンガ情報専門のニュースサイトとして人気を集めているコミックナタリー。
インタビュー第2回は、コミックナタリーがこれからどこを目指していくのかから伺いました。

【インタビューイ】
コミックナタリー編集長
唐木 元さん

【インタビュアー】
株式会社ファンタジスタ代表
栗原 弘樹

ボクらはマンガを作るつもりは無いんですよ。情報ハブの域からはみ出すつもりは今のところ無い。
たとえばボクらがアンソロジーコミックとか作り始めたら、新規参入を狙ってるんだと警戒されて誰も情報開示してくれなくなると思いますし。
じゃあナタリーはどこを狙ってるのかというと、新聞の文化面に代わるものをやりたいんです。いきなり大風呂敷ですが、新聞はネット化の波を受けて、早晩いまの大所帯を保ってはいられなくなると思っています。じゃあどうなるかと言えば、カテゴリごとの細切れに分割されていくと思う。それを読者がヤフーやミクシーのトピックからつまんで読む。すでにかなりそうなってきてますよね。
ただ新聞が分割されてくといっても、冷静に考えていきなり政治記者をできるかといったらできないですよ。社会面ができるかというと、それも苦しい。じゃあボクらみたいな零細の新参者が、旧来のジャーナリズムのどこを、良く言えば肩代わり、悪く言えば奪えるかというと、それは文化面じゃないかと。そこをやりたいと思ってます。
コミックの次のナタリーを多分年内に立ち上げると思うんですけど、そうやって5,6ジャンルを束ねたナタリーというメディアができたら、旧来の文化面が担っていた一部、ポップカルチャー領域を奪えるんじゃないかなと思っているんです。

―― ボクも最初にサイトをやり始めた時に思ったんですけど、マンガのネタってどこで仕入れるかというとその場所が無いんですよね。本当に情報ハブが無いんですよ。それぞれの出版社のサイトに情報があるといっても、何ヶ月も更新されないところがざらにあるじゃないですか。
ちゃんと情報を出しているところもありますけど、今の状況は●●●社の本だけ売ってる本屋があって、●●●社の情報だけが載っている情報誌があるというのと同じことじゃないですか。それだと広がっていかないと思うんですよね。

それで言うと、ほんとは「マンガ☆天国」が万全に機能していれば、ボクらいらないんですよ(笑)

―― もったいないですよね(笑)

コミックナタリーを立ち上げるとき、凄く危惧があったんです。
マンガ情報を記事として発信している企業媒体が、せいぜい「まんたんウェブ」のマンガコーナーくらいしかない。なぜないのか。ただ誰もやってないだけなのか、それとも誰も必要としていないからなのか、どっちだろう?と。
もし誰も必要としていないならアクセスも伸びないだろうし、すぐ止めようと思ってました。
結局多分誰もやってなかっただけだったと思うんですけど、はじめる前はドキドキで。

―― 今、ページビューってどれくらいですか?

今はPCが月間110万PVでモバイルが60万PVくらいですね。

―― やっぱり誰もやってなかったってことですよね。

今ガッと増えてきていて、束ねて200万PVってもう見えてきているんですよ。
300万PVまではこのままいけると思っているんですけど、その先の伸びしろはまだわからないですね。

毎朝1600サイトくらいを開いて閉じて...

―― ウチとしては、コミックナタリーがぐっと伸びていってくれれば、もうウチのニュースソースをお願いしたいくらいなんですよ(笑)ニュースに人を割く余裕が無いんですよね。

そうですよね、面倒くさいでしょ(笑)。
ほんとに面倒くさくて、かったるくて。こんなかったるいことウチ以外がやること無いのになって本当に思ってるんですよね(笑)。
そもそもボクがコミックナタリーを始めようと思ったきっかけのひとつは、去年めちゃくちゃ忙しくて、それでもマンガは買ってるんですけど、西村しのぶの新刊プレゼントを逃していたり、自分が好きな領域のくせにこぼしちゃうんですよ。だから個人的には去年のボクに捧げるサービスだったりするんです。

―― ボクも西村しのぶの作品は学生の頃から全部買ってるんですよ。でも新刊(「下山手日記ミギカタ編」)が文庫で発売されるっていう情報はコミックナタリーで知りました(笑)

ありがとうございます(笑)。
でも考えてみたら、去年のボクくらい忙しい人って世の中にはすごく一杯いるはずで、その中にマンガが好きな人もいっぱいいるはずで。だったら、マンガが好きだけど忙しくてチェックしてらんない人のところにうまく情報が入ってくるメディアがあったら、去年のボクは喜ぶんじゃないのかなって思って。そういうのが下敷きとしてあるんですよね。
だからサイトとして、例えば萌えに強いとか、●●に強いというような打ち出しは持っていなくて、
それよりはフラットに、なるべく多くの情報を出していきたいなと思っています。

やってて悔しいのは、ウチは「×月×日×時まで外に出さないでください」とかニュースの解禁日を指定されることが多いんですけど、個人サイトだと解禁なんか関係ないから出したい放題じゃないですか。図版だってスキャンしまくりで。あれには勝てない。

―― たまにニュース掲載のタイムラグを感じるときがあるのはそういうことなんですね。

コミックナタリーのニュース掲載が遅い時っていうのが一杯あるんですよ。でも、もうそれはあきらめてます。
逆に「こいつらは解禁日を指定したらちゃんと守るメディアなんだ」と、そういう風に思ってもらいたいんですよね。「あなたたちの味方なんだよ。うまく使えば助けになるんだよ」というのをわかって欲しい。
最近、ようやく編集部の方々の中でも知名度が出てきて、「おっ、コミックナタリー読んでるよ。ちょうど掲載して欲しいと思ってる話があったところなんだ」と言ってくださる方も増えてきました。

―― 地道に続けていくしかないんですよね。

本当にそうですね。
本当に面倒くさいんですよ。「コミックナタリーってどうやってネタを集めてるんですか?」ってしょっちゅう聞かれるんですよ。「企業秘密ですよね?」って言われるんですけど、全然企業秘密じゃないのでいつもお伝えしてるんです。
週に20誌くらいを買って目を通して、週に2、3回書店を回って単行本の帯をチェックして、あとは毎朝1600サイトくらい開いて閉じてるだけです。タブブラウザって100枚くらい一気に開けるじゃないですか。ばーって開いて「今日は(更新されて)無い!無い!」って見ていくだけ。それだけですよ。
「ああいう(コミックナタリーのような)のをやりたいんだよね」っていう方にはいつも教えてるんですけど、誰もやらないですね。

―― やらないでしょうね(笑)

出版社からのニュースリリースが増えればもう少し楽にもなれるんですが。

―― あとは文章を書ける人がいないんでしょうね。

そうですね。それは正直ボクたちの強みですね。
社長の大山もボクも出版畑の出身ですし。手前味噌ですけど、出版業界は文字を扱うことに関するトレーニングの仕組みが確立していて、それは正直IT業界発のネットメディアに対するアドバンテージですね。
これは出版とか新聞業界が崩壊して、その才能を持った人たちがどっさりこっちに流れくるようなことでもないと、ネットメディアはしばらく追いつけないと思います。
そういった教育を受けた人がやっているかどうかっていうのは一発でわかりますよ。"ちゃんとした感"みたいなところですごく差が出てしまう。それはやっぱり旧メディアの強みですよね。

―― 本当はそれを新しいメディアで生かしていけばいいことなんでしょうね。

そうですね。ただそのメソッドを持って出版の外に出てきてくれる人って、やっぱり少ないですよね。
ネットだからちゃんとした文章じゃなくてもいいや、それより速さと量、という考え方もあって、それもひとつの正解だと思ってます。ただ、ボクらはそれをやりたくないと。
「コミックナタリーは記事がしっかりしてますね」って言われるのがボクは一番うれしい。
ネタの鮮度や選定はそんなにたいしたことはやっていないんですけど、記事がしっかりしていて、その中にウィットやペーソスを混ぜていくということに関しては意識して力を入れているところなので、そこをほめてもらえると本当にうれしいですね。

―― ヘッドラインを掲載しているサイトと一緒にして欲しくないという意識になりますよね。

正直、それはありますね。
だからウチのライター陣は、名刺に「記者」と入ってるんですよ。それは記者であってほしいという願いを込めて、ですね。例えば新聞社で記者をやっている方からみれば、同じ名前で呼んでくれるなと言われるほど練度が低いのも事実ですけど、肩書きから実力が付いてくることもあるんじゃないかという希望ですね。

旧来のメディアの持つ力を尊重しながらも、そこからポップカルチャーの領域を奪いたいというナタリー。
年内スタート予定という新しいジャンルのナタリーも含め、着実にその歩を進めているようです。
最終回となる次回、コミックナタリーのビジネスモデルについて伺います。

建物探訪

ナタリーと言えばマスコットキャラクターの「ナタリー信子(のぶこ)」と「マシュー」。
社内には東村アキコさんの原画も飾ってありました。
マスコットキャラクターについて






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