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マンガ全巻専門書店の元祖「漫画全巻ドットコム」というお仕事-その2-『ONE PIECE』2千セットの出荷作業

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ドラマとパチンコ これはすごく大きいですよね

マンガ全巻専門書店「漫画全巻ドットコム」安藤社長インタビュー。
第2回は、2009年上半期の売上BEST100を片手に、全巻販売専門書店ならではの売れ筋作品から伺いました。

【インタビューイ】
株式会社TORICO代表
安藤 拓郎さん

【インタビュアー】
株式会社ファンタジスタ代表
栗原 弘樹

―― 「上半期BEST100」を印刷して持ってきているんですけど、1位が50巻を超えている『ONE PIECE』ってすごいですよね。(取材時点で)全54巻ですからね。

すごいですよね。ダントツ1位でしたからね。

―― この上半期1位って、何セットくらいが出てるんですか?

多分、2千セットくらいかな...。

―― ということは...10万冊以上ということですか。

そうですね。ほんと『ONE PIECE』さまさまですよ。未だに毎日10セット近くは注文が入るので。
『ONE PIECE』は、当然サイトのスタート当時から取り扱っているんですけど、ここまで人気が出だしたのって、ほんとにここ数ヶ月ですね。

―― 数ヶ月?

ここ3ヶ月くらいはダントツでトップなんですよね。

―― ここ何ヶ月かで、長く連載が続いている『ONE PIECE』が急に売れ出す理由って何かあるんでしょうか?

推測でしかないんですけど、今すごくジャンプがアツい、特に『ONE PIECE』がアツいらしいんですよ。
アツいからといって全巻買うか?という話もあるんですけど(笑)。
次の55巻はこれまでで一番多く発行するらしいですよ。

―― 確かに内容的に、非常に盛り上がっているところではありますよね。

それとアニメと絡まって、全巻揃えて読んでやろうっていう人がものすごく増えているんじゃないですかね。
それでも他のタイトルって比較的理由を説明できるんですけど、『ONE PIECE』のこういう伸びはちょっとびっくりしましたね。

―― そうですよね。他は映画化であったり、ドラマ化であったり、パチンコ化であったりですからね。理由が見つからないのって、上位では『ONE PIECE』くらいですかね。

『NARUTO』なんかはこのくらいの位置(上半期12位)でずっと来ているので...。
あ、『ドラゴン桜』(上半期32位)はすごいなぁ。

―― 再放送してましたよ、少し前に。

あ、それでですかね。

―― それじゃ新しいドラマの情報は常にチェックしていないとですね。

そうなんですよ。ドラマとパチンコ。これはすごく大きいですよね。
『おぼっちゃまくん』(上半期16位)がこんなに売れると思わなかったですからね。

―― これはパチンコですね。CMもやっていましたし。

売れてから気づくケースがまだまだ多くて、なかなか先手を打てていないんですよね。

―― 『けいおん!』(上半期14位)なんて大ブームですけど、(取材時点での発刊が)2巻だから本屋ですぐ買えそうですよね。『アイシテル』(上半期8位)も上下2巻ですし。これはアマゾンじゃなくて、「漫画全巻ドットコム」で買うんだ!っていう人たちですよね。

ありがたいですね。

―― アマゾンで全巻をまとめて買おうとすると、注文は普通にできたんだけど「在庫が無くなったのでお送りできません」っていうメールが後からしれっと送られてきちゃったりして、それで途中の巻が抜けてしまったりっていうのが結構ありますよね。

そうなんですよね。あっさりあきらめちゃうんですよね。

もうちょっと人間味をもたせたいなと

―― 「マンガナビ」も先日『カバチタレ!』の企画でご一緒させていただきましたが、キャンペーンを色々とやられてますよね。こういうことをやっているオンラインの書店さんってあまりないですよね。

そうですね。月に一つくらいはやりたいと思っていて。大手ネット書店は、マンガのリストがあって、「ここから買ってください」っていうだけのところが多いんですが、ボクらはそういうのとは違う方向性じゃないと生き残れないと思っていて。当然、リストを充実させていくというのも大事なんだけど、何かもうひとひねりというか、もうちょっと人間味をもたせたいなと思っていて。

―― 一番最初のキャンペーンはどの作品だったんですか?

『ドラゴン桜』ですね。

―― インタビュー記事と色紙プレゼントでしたよね。かなり動きましたか?

すごく動いたんですよ。そのときはドラマが終わってからかなり経っていたので、どうかなと思ったんですけど、もともと作品自体が名作で、受験生だったら読んでおいた方がいいという作品なので、そこをピックアップしたところ、かなりの部数が出ましたね。

―― 出版社側としても、ネット書店の企画で「インタビューをとらせて」というのはあまり無いでしょうね。

本当にレアケースらしくて。でも、連載が終わって何年も経っていて、特に新しい話題もないコミックにスポットを当てるというというところを、出版社側にも喜んでいただけたようなのでよかったですね。
ネット書店でここまでの特集を組むところも無いですし、リアル書店にいくと、古いタイトルにスポットをあてるような売り場スペースをなかなか作れないので。
講談社さん側にも、『ドラゴン桜』を、受験生の必須アイテムとして毎年売れる作品として残したいという思いがあって。

―― クリスマス前に、山下達郎さんの『クリスマス・イブ』が売れるみたいな感じですね。

そういう、季節の定番のような形で売っていきたいと仰っていて。確かにそういう形だと、リアル書店ではやりづらいだろうなと思って。例えば、紀伊國屋書店に「平積みで置いてください」といっても難しいでしょうし。
そこの思惑が合致するというか、ボクらも売れ筋作品は売れ筋作品で、売れてありがたいんですけど、(キャンペーンを行った)『凍牌』とか『ドラゴン桜』のように、他では大きく扱っていない作品を置いてみて、売れたときのうれしさというのがすごくあるので。

―― リアル書店の店員さんの楽しみって、自分でPOPを書いた作品が売れたときというのがあると思うんですけど、そういう感じですよね。

それですね。だからボクも『凍牌』が売れたか売れてないか、毎日チェックしてるんですよね(笑)。
「よし、来たー!」みたいな。

―― 『カバチタレ!』も売れました?

おかげさまで売れましたね。

―― よかった(笑)。

ああいう風に、あらすじや試し読みなんかがあると、買うときの後押しになるんだなというのを感じましたね。

―― ボク達みたいなサイトだと、キャンペーンに出版社さんに協力いただくのって、ちょっと敷居が高いところもあるんですけど、その辺はキャンペーンをやることで実際にコミックが売れるというところに繋がるのは強みですよね。

そうですね。そこはすごく大きいですね。実際に数字として結果を持っていけるので。

―― 『ふたりエッチ』全巻を買うとコンドームがついてくるというキャンペーンをみて、やるなぁと思ったんですよ。「そう来たか」って(笑)。

なんかこう、ちょっとへんなことをやらないとなって(笑)。なにかやらかしたくなるんですよね。

―― これも売れました?

そんなに売れなかったですね。

―― なんとなく気恥ずかしさがあるんですかね?(笑)

『ふたりエッチ』って、ボクらのサイトの中で特異な存在というか...そんなには多くは売れないんですよ。
でも、どのタイトルから「漫画全巻ドットコム」に来たかというデータをみてみると、毎月『ふたりエッチ』でサイトに来る人がダントツトップで。『ONE PIECE』で来る人よりも『ふたりエッチ』でサイトに来る人の方が多いんですよ。

―― 『ふたりエッチ』をキーワードで検索してサイトを訪問してくる人が...ということですよね。

サイトのSEO(検索エンジン最適化。SEOが高いと、検索結果の上位にサイトが表示される)が高いというのもあるんですけど、『ふたりエッチ』で検索してサイトに入ってくる人の数が、全タイトル中で一番多くて。でもそんなに売れはしないんですけど(笑)、集客としてはすごいんですよね。

キャンペーンをやると面白いなって気づいて

―― あのキャンペーンは印象として強力に残っているんですよね。あと、ピザのキャンペーンもやられてましたよね。あれ、なんでしたっけ?

ああ、キャンペーンの最初はそのピザですね...。
あれは「ルーキーズ・ピザ」というのをピザーラさんが販売していて、たまたまその頃にピザーラの取締役の方とお会いする機会があって、「何か一緒にやれないですかね?」という話をしたら、「今、たまたまマンガでこんなことをやってるから」というお話をいただいたんですよね。

―― あれは全巻を買うと...。

『ルーキーズ』全巻を買うと抽選でピザが当たって、さらにピザを買った人から抽選で『ルーキーズ』のコミック全巻当たるというキャンペーンでした。
あれはよかったですね。あれがやれてからボクらのステージひとつ上がったというか。
それまでは単純に本を並べて売っていただけだったんですけど、あれでキャンペーンをやると面白いなって気づいて。
あと、対外的に「あ、ピザーラさんとやった会社なんだ」ということで、非常にやりやすくなったというのはありましたね。へんな会社じゃないんだろうなという安心感ができましたね。

―― 少なくとも新刊だけの取り扱いに移行してから、ずっと右肩上がりに成長されているわけですが、出版業界全体としては、ずっと右肩下がりの状況が続いていますよね。例えば、安藤さんからみて、もっとこうすればいいんじゃない?という思いはありますか?

なんというか、こう...普通のことだと厳しいんだろうなと思っているんですね。普通の本屋さんだと、よほど立地がいいとか、よほど大規模に展開しているとか、そういうところに寄っていってしまって。
今はアマゾンがすごく便利ですし、コンビニでもマンガが買える時代なので、自社のサイトや本屋に来ていただくということのレベルがどんどん高くなっていると思うんですね。
昔って、ボクもそうでしたけど、その地域の本屋さんって決まっていて、ジャンプでもコミックでもそこに買いにいくというのがあったんですけど、今はそれが無くなっちゃっているので、何か変わったことというか、フックになることがないとと。
何か...例えばボクらなら全巻にこだわるような、こだわり方をするしかないんだろうなと思っています。
例えば麻雀マンガしか売ってない店とか、それで黒字化するかはわからないですけど(笑)。
「麻雀マンガなら全部あります」みたいな、それくらいじゃないと存在価値をつくりづらいんじゃないかと思ってますね。

―― 逆に今、コミックの全巻販売をするサイトがどんどん増えてきているじゃないですか。ああいうところとの一番の違いってどこにあるんでしょう?

昔からやっている信頼感と、あとはおそらく、タイトルが圧倒的に多いはずなので、そこが自分達の便利なところだとは思っているんですね。
あとは、アマゾンとか楽天とかヤフーで買うのは安心だと思うんですけど、株式会社TORICOから買って本当に届くのかっていう不安はかなりあると思うんですよね。その点で、他人のふんどしじゃないですけど、小学館さんや講談社さんとやっているキャンペーンなどを通じて、「まぁ一応届くだろうな」という安心感は伝わると思うので、そこらへんの違いだと思うんですよね。

―― 確かにキャンペーンなどを見ると、一歩先を行っている感じはしますよね。

そうですね。そういうところはこれまで以上に進めていきたいと思ってますね。

―― 先ほどの話ではないですが、中古で始めようと思うと、ブックオフを回って始められるわけで、参入障壁がそんなに高いわけではないんですよね。

低いですね。だから、もっとブランドとして、価値を高めていかないといけないと思っているんですよね。
同じネット書店でも、アマゾンでは買うけどここでは買わないというのがあるじゃないですか。それを「マンガを全巻まとめて買うならここだな」というブランドイメージをもっともっと持ってもらえるようにならないと厳しいだろうなと思っているんですよね。

―― 全巻まとめ買いだったらアマゾンにも負けない、みたいなところですね。

そうですね。


現在では、漫画の全巻販売をおこなうサイトは数多くあるのですが、ネット書店であっても人間味を出すことを大事にしているところが「漫画全巻ドットコム」がNo.1でありつづける秘訣なのかもしれませんね。
最終回となる次回は、これからの「漫画全巻ドットコム」の展望と、マンガ好きには夢のような倉庫の潜入取材です。

建物探訪

今度はTORICOさんのオフィスにお邪魔しました。
入ってすぐのところに、マンガが詰まった本棚があるのですが、どの作品も(たぶん)全巻がきれいに並んでいました。
そして壁には、今までキャンペーンを行ったマンガ家さん達のサイン色紙が。超豪華なメンバーです!


社員さんによる厳選されたマンガ!?


Yahoo!ショッピングからも表彰されています。


美麗な色紙がズラリ!



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