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日本初マンガ専門学部[京都精華大学マンガ学部]マンガソーシャルメディアVSマンガプロデュースコース

掲載日:2007.08.20

特別座談会:マンガソーシャルメディアVSマンガプロデュースコース

2006年6月、日本で初めてマンガ専門の学部として開設された京都精華大学マンガ学部。
マンガ学科カートゥーンストーリーマンガ)、アニメーション学科マンガプロデュース学科の3つの学科で構成される当学部では、マンガのあらゆる表現スタイルをカバー。漫画家はもちろん、編集者、プロデューサー、研究者の育成も視野に入れた教育を行っていて、その中に「マンガプロデュース学科」という非常に珍しいコースがあります。
編集者や原作者・評論家など作画以外の領域でマンガ家とともに作品を生み出し、マンガ文化を支えるおしごと「マンガプロデュース」。
当コースの生徒は、基礎的なマンガ編集実務からシナリオ作り、マンガ業界の現状を、第一線でマンガを支える講師陣から学んでいるようです。
マンガ界の片隅で生きる、わがマンガソーシャルメディア編集部スタッフ2名が若きマンガプロデューサーの卵たちのフレッシュな声を聞いてきました。

京都精華大学マンガ学科マンガプロデュースコース 概要】
ヒット作をプロデュースするコミック編集者、マンガのための原作を書く原作者。そして、マンガ作品に鋭い批評をあたえマンガの発展に寄与する評論家。こうした現代のマンガが真に必要とする人材を育てるためにマンガ学部の中に新設されたコース。
現役の編集者・原作者・評論家である教員のもと、取材方法や編集技術、ストーリーの組み立て方など実践技法を学ぶ授業や、マンガを読み解く目をやしなう評論演習、さらには商業的見地から分析するマーケティング論など理論をも学び、マンガをプロデュースするための総合的な力をやしなっていく予定。1学年40名。入学試験は小論文。
詳細はこちら

マンガプロデュースコースのみなさん

橋本さん
なりたい職業 マンガ編集者
好きなマンガ 寄生獣

鳥山さん
なりたい職業 小説家・原作者
好きなマンガ ワンピース

吉江さん
なりたい職業 マンガ家
好きなマンガ CLAMP・火の鳥

猪瀬さん
なりたい職業 マンガ家
好きなマンガ 三浦健太郎作品

才茂さん
なりたい職業 小説家・原作者
好きなマンガ ハチクロ

マンガプロデュース科で学ぼうと思ったきっかけは?

―――マンガプロデュースコースのみなさん、こんにちは。
まず始めに、みなさんはどんなきっかけでこのユニークな名前をもつコースで学ぼうと思ったの?

猪瀬さん:

シナリオを学べるからですね。

才茂さん:

高校の先生にこんな学科があるんだよと言われて。自分の担任の先生には反対されたりしましたけど、あっ、これにしようと決めました。

鳥山さん:

小説家を目指しているので他の大学の文学部とかも目指していたんですけど編集や出版界について幅広く学べると思って決めました。

―――みんなのご両親は反対しなかったんですか?

全員:

はい(笑)。

―――意外だね。ところで、コースで学んでいる学生さんは将来、何になりたいひとが多いんですか?

鳥山さん:

だいたいマンガ家とかマンガ編集者、マンガ原作者志望が多いですね。ユニークなところでは、声優志望のひともいます。

―――学科のホームページでは「マンガを生みだすための、すべての基礎として必要な『物語をつくる力』を身につける」と記載されていましたが、実際みなさんはいま、どんなことを習っているの?

橋本さん:

1年、2年とマンガのシナリオを書く授業があります。授業で1日1本課題が出て、1つのシナリオを午後の4時間ぐらい使って考えています。2年に入ってマンガ評論についても学んでいます。課題マンガについてレビューを書いたりとか。ぼくはそういう批評する授業が好きですね。

鳥山さん:

先生たちが、原作を書ける編集者、マンガ家を育てたいっていうのを感じます。

―――1日1本のシナリオづくりはハードだね。

吉江さん:

1限から6限まで授業がびっしりつまっていたり、朝7時に出て夜10時過ぎに学校から帰ってきたりというのは他の学校や学科の子に言うと、大変そうだって言われますけど......。じっさい、この授業に慣れてしまうとそうなんかなぁ?って。

――どんな授業がためになりますか?

猪瀬さん:

シナリオづくり。マンガを書くうえでシナリオを学べるのはまったく正しい(笑)。

橋本さん:

個人的には雑誌企画の授業が面白いです。マンガなどの雑誌を企画するとか。講師の先生からは、マンガ雑誌というのは「編集者からのメッセージなんだ」ということも教わりました。

授業で映画をたくさん観るのが意外でしたね。

――意外だった授業はありますか?

橋本さん:

授業で映画をたくさん観るのが意外でしたね。カサブランカやターミネーターや最近の映画についてもマンガシナリオを書くうえでの参考として授業で取り上げられます。だいたい週に1本~2本観ますね。

才茂さん:

駄作映画についてもあえて取り上げられたりします。終戦のローレライとか(笑)。

――逆にこの授業きついなぁというのは?

鳥山さん:

マイケルジャクソンのプロモーションビデオを観たときはつらかったです(笑)。ただ、志望や選択科目によっても違うと思いますが、これは無駄だなと思う授業はあまりないですね。

――先生から、これからのマンガ界で働くにあたって必要なことはなにだと言われる?

才茂さん:

先生方によく言われるのはマンガは「物語力だよ」、ということですね。

鳥山さん:

絵は何歳になっても上手くなるけど、物語力は20歳をすぎるとなかなか伸びないから、それはこの学科で学ばなければならないんだよって。

吉江さん:

とにかく本を読め!とよく言われるなぁ

才茂さん:

暗に「マンガばっかり読んでんじゃねぇ」って(笑)。いろんなジャンルに興味をもって生きないともったいないって。

橋本さん:

あとは、ケータイマンガとかの新しいチャネルや海外を見据えておくとチャンスがあるよと。授業では、じぶんたちで描いたマンガをケータイマンガのビューワー形式で見れるようにして保存したりというようなことを習っています。

鳥山さん:

編集者にとっては、DTPとかパソコンのスキルも必要だと言われます。

――みんなはケータイやPCでふつうにマンガを読むの?まわりはどう?

才茂さん:

ふつうには読まないですね。

吉江さん:

わたしの機種はウィルコムなんで(笑)。

橋本さん:

ケータイは会員登録が面倒だったりするのであまり......

猪瀬さん:

経済的、時間的な問題で読まない。

鳥山さん:

授業で取り上げられないと読まないですね。上の世代のOLさんとかはケータイで読むんじゃないですか。無料の立ち読みを試してみて面白かったら書店で買いますね。

――みんなの世代もまだマンガを本屋で買って紙で保存したい派なんだね。
その紙のマンガ市場自体はどんどん落ちこんでるんだけど、みんながいまの授業を4年間がんばった結果、マンガ界に入れない可能性もあるよね。みんなはマンガ業界一本なの?もしくは他の業界や職種でもいいかなという柔軟なスタンスなのかな?

鳥山さん:

マンガ一筋のひともいますけど、大半はもう少し進路を柔軟に考えている感じですね。

――みんながこの学科の1期生だから、先生も生徒もいろいろ試行錯誤しながら柔軟にやって行こうといったところなんだろうね。

才茂さん:

ぼくたちが学んだり教わったりすることが学科としても初めてのことばかりなので、授業の進め方についてもぼくたちの志望や意見に応じてある程度柔軟に取り入れられたりします。

吉江さん:

うちらの学年と1年下の2期目の授業の進め方も違ってきてるなぁ。よい面はどんどん取り入れて。

橋本さん:

1期目なのでいきなり新しいことをやらされて戸惑うことも多いです。雑誌の企画でいきなり知らないひとのところに取材に行くとか。でも、実際にやってみたら大変でしたけど勉強になりました。

――最後に質問です。マンガプロデュースをこの学校で一から勉強したいって言うおじさん社会人が入学してきたらどうする?

才茂さん:年上の後輩っていい感じですね(笑)。

編集後記

京都市内の喧騒から離れた緑豊かな場所で(豊か過ぎる気も若干しますが)、マンガというもの、マンガ界の現在と将来をしっかり学んでいる真面目な生徒さんたちでした。
遊ぶ時間がなかなか取れないようなハードなカリキュラムのようですが、生徒さんからは「大変だけど充実感がある」という頼もしい声も。
これからのマンガ界・出版界に入ることがそれぞれにとってベストな選択かどうかはさておき、
「大変だけど充実感がある」という状態に学生のうちから慣れておくことはよいことなのかもしれません。
しかし、いまの学生さんは、自分たちが学生だった頃(もう10年以上前ですが)と比較して、はるかにリアルに「就職」や「キャリア」というものを考えているんだなぁと実感させられました。
同行した現役編集者のおじさんの方こそ、もっと真剣に自分の将来を考えてもらいたいものです(笑)。


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