漫画の学校ってどう?

「豪華な講師陣!」神戸芸術工科大学-先端芸術学部メディア表現学科まんが・アニメ専攻コース

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神戸芸術工科大学 先端芸術学部 メディア表現学科編

好評連載企画「マンガ学校へ行こう!」として、貸し本マンガ発祥の地とも称され、数多くのマンガ家を輩出している兵庫県を訪問。神戸市営地下鉄学園都市駅を下車してすぐのところにある神戸芸術工科大学キャンパスにて、2006年4月にマンガとアニメを総合的に学ぶコースとして新設された先端芸術学部メディア表現学科まんが・アニメ専攻コースを突撃取材しました。

メディア表現学科の校舎

安彦良和教授が描いたメディア表現学科のイメージポスター

まんが・アニメーション専攻掲示板

【神戸芸術工科大学 先端芸術学部 メディア表現学科 概要】
2006年4月に新設されたメディア表現学科には、まんが表現、アニメーション表現について専門的に学べるまんが・アニメーション専攻コースが用意されています。
当コースでは描画だけではなく、ストーリーテリングや演出法、構成力、そしてまんが・アニメーションの歴史性や文化的背景などについての知識など総合的に組み立てられたカリキュラムのもと、幅広い知識や技術を学び、受け手に伝わる表現力を高める教育を実践。実務的な技術だけを追うのではなく、受け手に伝わるものづくりができる表現者としての基礎体力を養い、まんが・アニメーション業界で広く活躍できるクリエーターの養成を目標としているそうです。
また、その他にも写真・CG専攻コース、映画専攻コースも設定されており、まんが・アニメーション専攻コースを加えた三つの専攻ジャンルが密接に絡みあうことで総合的なメディア表現を学ぶことができます。
今後は、現役まんが家、原作者、編集者、アニメーターといった、プロによる厳しい視点からの指導とともに、アニメーション制作現場での研修など、充実した課外授業も予定しているとのこと。一学年35名。
詳細はこちら

マンガソーシャルメディア編集部からみた当専攻の最大の売りは、いまをときめく現役のトップクリエイター陣を集めた豪華な講師陣。
まんが表現の基礎演習をしりあがり寿氏(『地球防衛家のヒトビト』を朝日新聞夕刊で連載中)、物語基礎演習を『多重人格探偵サイコ』の原作者として知られるるまんが評論家・原作者の大塚英志氏(「月刊コミックチャージ」で『黒鷺死体宅配便』連載中)、フラッドアニメーション表現基礎演習を安彦良和氏(『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN』連載中)がそれぞれ学生に直接指導しています。
個性派講師陣の潤滑油として同学科の主任をつとめていらっしゃる橋本英治教授曰く、一学年70名のメディア表現学科生のうち35名がまんが・アニメーション専攻とのこと。
まんが・アニメだけではなく映画や写真、CGといったメディア芸術全般のコースを用意することで、入学時に「自分は仕事はこれだ」というものが決まっていない学生でも、まずは基礎科目としてまんが・アニメ表現を学んだ後に自分の興味・適性に応じた専攻に変更することができるそうです。また、各表現コースを横断した共同作業や興味のある他コースの単位を取得することも可能。
こうした柔軟なカリキュラムを用意することで、「マンガやアニメをはじめとする様々なクリエイター職やメディア産業への入り口になるような学科を目指している」と橋本教授は語っていらっしゃいました。

そこで今回は、ご自身が若い読者向けに描いたSFアクションマンガ『韃靼タイフーン』の電子書籍化を記念し、当学科でフラッドアニメーション表現基礎演習を指導している安彦良和氏にメディア教育の現在と今後の創作活動についてのお話を伺いました。

神戸芸術工科大学 先端芸術学部メディア表現学科 安彦良和教授

安彦良和 プロフィール
1947年(昭和22年)北海道生まれ。1970年「虫プロダクション」に入社し、アニメーターとなる。虫プロ倒産後、昭和48年からフリーとなり、創映社(日本サンライズ)をホームグラウンドにしながら、宇宙船艦ヤマト(絵コンテ担当)・機動戦士ガンダム(キャラクターデザイン・作画担当)などの作品に関わる。後に漫画家業も始め、アリオンなどの自作作品をアニメ化するが、『ヴィナス戦記』を最後に漫画家に専念。マンガ家として、1990年、『ナムジ』で日本漫画家協会優秀賞を受賞。また小説、SFイラストの分野でも活躍。1981年に星雲賞のアート部門を受賞。
2000年『王道の狗』で第四回文化庁メディア芸術祭優秀賞を受賞。
現在、神戸芸術工科大学先端芸術学部メディア表現学科教授。

はばたく夢ではなく、マンガ・アニメ界の現実の厳しさをこの手で教えていく

―――アニメとマンガ、両ジャンルで素晴らしい経歴をお持ちの安彦先生から直接指導を受けられることは生徒にとっては凄い刺激になると思うのですが、ご自身が大学の教職を引き受けようと思った経緯を教えてください。

私はそもそも、教えることより自分で書くほうが好きな人間なんです。マンガやアニメを他人に教えようとか教えられると思ったことは実は無かったんですね。

ところがある時、別の大学から学生にマンガを教えてみないかというお誘いがありました。その時は他人事のようにびっくりしましたね。
結局、その話は諸事情でなくなったのですが、その時にはじめて他人に教えるということについて考えたんです。
それからしばらくして神戸芸術工科大学からもマンガの講師としての話があったんですが、自分のマンガは我流ですし、やっぱり自分には向いていないなと思って断ったんですよ。
ところが当メディア表現学科の主任で人事もやっている橋本教授から何度も説得されまして。
あの人は、なんというか大学の先生らしからぬ方でそのマイルドな雰囲気で巧妙に攻めてきましてね。結局ひっかかってしまったというか(笑)。

それと、私は大学を卒業してない人間です。大学をクビになっている自分に対して、「それでもいいんだ」ということで大学の先生のお誘いがかけられたことに対して皮肉なめぐり合わせを感じたこともありましたね。

編集部注:1970年当時の学生運動高揚期、弘前大学に在学していた安彦先生は、運動を主導していたという理由により除籍されている。

―――アニメとマンガ、両ジャンルの創作の苦労を熟知されていると思いますが、18歳ぐらいの若きマンガ家志望者・アニメーター志望者にどのようなことを教えているのかお聞かせください。

私はマンガではなくアニメーション分野に関する教員ということで、アニメに特化して指導をしています。つい最近完成したのですが、1年生の後半から、実際のマンガをもとにTVアニメ番組を念頭にしたアニメーション制作実習課題を指導していました。吾妻ひでおさんのギャグマンガを題材に10分ぐらいのアニメ-ションを生徒たちとともに作りました。

―――先生の著書『安彦良和対談集 アニメ・マンガ・戦争』では、最近のクリエイターは表現技術については上手くなってきているけれど表現すべき社会観や世界観がどんどん狭くなってきているとおっしゃっていました。アニメ制作実習を通して、アニメ史に加えこうしたメディア論のようなものアニメやマンガなどのメディア史なども並行して教えてらっしゃるのでしょうか?

私は創作を中心に教えています。私自身、アニメ史などはあまり知らないですから(笑)。そっちの方はアニメ作品研究の専門家であるササキバラ・ゴウさんに指導をお任せしています。

―――安彦先生としてはまずは、理論だけではなくアニメーション職人として、創作ということやその大変さを実践を通して学んでもらおうということでしょうか?

そうですね。決して理論や知識体系の必要性などを軽視しているわけではないのですが、私個人としては、バタ臭いやり方ですが学生にはまず手を動かして労働してもらおうと考えています。アニメーション制作とは手を動かしてなんぼの「肉体労働」だと考えていますから。
今後はアニメ指導教員の人員も増えるので、来期からはどうなるかわかりませんが今のところ大学には私のやりかたでやらせてもらっています。

―――頭でっかちのアニメオタクではなく、アニメ業界という過酷な職場で実際に働ける「アーティスト型の職人」を育てたいということですね。学生への指導の中で特に感じていらっしゃることはありますか?

学生はマンガやアニメが好きでそれを学ぶために大学に来ているんだと思います。
好きだから作ってみたい。作る仕事をしたいから学びたいんだと。それ自体はシンプルで間違いではないのですが、実際には自分が創りたいものを創れる機会はそんなにありません。

私自身はもともとアニメーションに対して最初から夢があったわけではありません。
ひたすら食べていくために、これを自分の職業として社会や周囲からのさまざまな要求にひとつひとつ応えていくという地道なやり方でやってきました。
学生に対して自己実現や夢への過度な期待をもたせた挙句、現実との落差にかえってがっくりさせるよりも夢と現実との隔たりに早く気づいてもらった方がいいと考えています。自らの職業としてアニメを選ぶということは、社会の現実をみて腹を括ってひたすら仕事をこなしていくということだと思いますから。

タメ口で話す表現職人の卵たち

―――生徒さんの年齢は18歳から20歳ぐらいですよね。この年頃の若者は「おれは一生この道で生きるんだ」というジャッジをまだしていないひとがほとんどですよね。
そんな学生さんと実際に交流を図ってみて新鮮な発見などありましたか?

この間もアニメ実習課題が完成して、打ち上げということで生徒たちといっしょにご飯を食べに行ったんですよ。授業以外で彼らといっしょに過ごしているとつい自分の年齢を忘れてしまうんですね(笑)。生徒たちといっしょの気分になってしまうというか。
タメ口を聞かれることもあったりして。

―――それはガンダム世代の神をも畏れぬ行為ですね。ただ、これだけ世代差があると授業を受けるまで先生のことをそれまで知らなかった生徒もけっこういるんじゃないですか?

いますね。どちらかと言うと、知られていない方が都合が良い(笑)。

―――というと?

生徒たちに変な先入観がない方が、1人の先生として接することができるというか、えらく年の離れた先輩という意識でいっしょに実習などをすすめられますから。

―――若いひとたちに近い目線で考えることができるということですね。仮にご自身がこの時代、18歳だったらどうしていましたか?

う~ん。たぶん、途方に暮れていたでしょうね。あまりにも選択肢が多すぎて。我々の時代は何もなくて食べていくために無我夢中でした。そういう意味では現在の生徒たちは情報も環境も選択肢も恵まれています。
その反面、「なんでも自由にやっていいよ」という現代は、学生たちにとってはかえって難しい時代でもありますよね。そして業界も成熟しきっていますから競争相手も多いし、タコツボ化してしまう恐れもあります。
なにしろ他人と同じことをやっていては生き延びるのが難しい世界です。ある種の力技や抜きん出た技術の習得が必要。そういう意味でも私は憧れや夢をふくらませるというよりも、この社会の現実をしっかり見せるような指導を地道にしていきたいと思っているんです。

現役マンガ家 安彦良和として

安彦先生は大学の先生であると同時に、連載中の作品をお持ちの現役バリバリのクリエイターでもいらっしゃいますが、ご自身の作品についてもお伺いました。

―――生徒からはたぶん「ファーストガンダムを創っていた安彦先生」として知られていると思いますが、ご自身が90年代に描いた数々のマンガの中では日本の歴史、戦史を描かれた作品が多いですよね。
特に『虹色のトロツキー』では、昭和史を生きた庶民の群像物語とともにを満州国(中国東北部)での陸軍の暗躍の様が描かれています。
最近、元帝国陸軍参謀で昭和史・戦後史におけるフィクサーの一人といわれた瀬島龍三氏が亡くなりましたよね。私たち戦争を知らない世代にとっては、戦後61年の現在と大戦を結ぶ象徴的な人物でもあります。
ご自身が瀬島氏の訃報について何か思うことや今後、作品として瀬島氏をモデルとして昭和の歴史の裏側を描いてみたいということはありますか?

そうですね。僕は瀬島さんに関する本は少ししか読んでいないんですが、あの人は大本営の若き参謀で戦後昭和史においても独特の存在感がある方だったと思っています。
僕は『虹色のトロツキー』では陸軍の石原莞爾将軍をはじめ、瀬島氏の上官だった服部卓四郎や辻政信のようないわゆる軍部エリート参謀を登場させました。
但し、個人的には、私はエリートというよりむしろ庶民の群像や裏街道派に関心があるんです。

この作品で描いた当時の満州国は日本にとって大きな存在でしたし、真剣に国造りをした。
そんな状況の中で、いわゆる善悪2元論では抜け落ちてしまうような、庶民の生きざまを当時の視線で見た物語を描きたかったんです。主人公ウムボルトもそうですが、運命に翻弄されながらも社会の裏道を懸命に生きるような人間に光をあてた作品を描いていきたいと思っています。

―――今回、ご自身の故郷でもある北海道を舞台に若い2人を主人公とし、政治や軍事といった要素を盛り込んだSFアクション『韃靼タイフーン』が電子書籍化されました。
テンポが良くて若い読者にも読みやすい作品だと思うのですが、今の世界情勢を考えると実際にありえそうなお話ですよね。
そして、『ジャンヌ』『イエス』といったすでに電子書籍化されている作品とともに今後は多言語翻訳配信することで、先生の作品を世界中の読者に届けていきたいと考えています。

『韃靼タイフーン』はソ連崩壊の後のロシアの混乱が気になって、ちょっと軽めにですが描いてみたものです。電子書籍で若い読者に読んでもらえるとありがたいですね
。 私の作品は地味なものばかりなのに、意外と海外の出版社からの翻訳話が来るのですがこれはどういうことなんでしょうね?

―――世界マーケットでは日本のマスメディアで話題になっているかどうかはあまり関係なくて、その地域の宗教や民族といった各国事情にあった作品性の有無で判断してるからなのかなと。
2作品ともフルカラーマンガですし、モノクロマンガに慣れていない海外の読者にも読みやすいのではないかと思っています。

そういうことだと非常にありがたいですね。



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