『夫は成長教に入信している』感想スタンプ・評価点数でどこが面白い？良い点は？関連作もまとめて紹介！

ストーリー性
キャラクター性
画力
読後感

コロナ禍以降、流行りに流行っている自己啓発やビジネス本をナナメ読みし、わかった風な口を利くサラリーマンが増えているという。
「食事も効率重視。コンビニで気軽に買えるサラダチキンや野菜ジュースで三大栄養素をチャージだ！」「リソースの投入率をアップさせないと」「その話ってエビデンスあるんですか？」……。
こんなこと面と向かって言われたら、たいがいの人はイラっとくるだろう。

本作に登場するコウキは、異常なまでに“成長”にこだわるサラリーマン。
もうすぐ子どもが生まれるというのに仕事優先。「赤ちゃんに負けないように年収1000万を目指して成長するぞ！」と意気込む。

しかし、彼の口が出てくる言葉は全部借り物。
隙間時間を埋めるだなんだと言ってもチグハグで、ちっとも生産性なんて上がらない。

そんな夫を“成長教”から救い出そうと身重の妻が奮闘を始める。

注目すべき点は、コウキが決してモラハラ体質のクズ男ではない点。
ジョブズに憧れ、かっこつけたことばかり言っているが、仕事は出来るし、妻からきついツッコミが入れば、ちゃんと落ち込めるのだ。

能天気な軽い男に見えるが、実は過度なプレッシャーに耐えながら働いていることが後半になると明らかになる。
他人事とは思えなくなってくるのだ。

果たしてコウキは成長教から抜け出すことができるのか？
アフターコロナ時代を生きる我々に課せられた、そして成長という呪いの言葉に縛られて生きる全ての人々に贈る救済の物語だ。
心して読んで欲しい。