『タコピーの原罪』感想スタンプ・評価点数でどこが面白い？良い点は？関連作もまとめて紹介！

ストーリー性
キャラクター性
画力
読後感

子供とて、いや子供だからここまで残酷で絶望状態に生きられるのか。

2021年暮れから2022年初頭にかけて「ジャンプ＋」に連載され、大反響を呼んだ作品。苛烈なイジメを受けている小学4年生の少女が、地球外生命体と出会ったことから始まるサスペンス。

宇宙にハッピーを広めるために旅をしているハッピー星人の“んうえいぬkf”。地球に降り立った“んうえいぬkf”は、空腹で倒れているところで“しずか”に出会う。

タコのような見た目から“タコピー”と名付けられた“んうえいぬkf”は、給食のパンをくれた彼女を幸せにするために奔走！　しかし……。

陰惨な暴力描写とキュートな宇宙人のギャップ、ドラえもんばりに秘密道具を取り出す知的生命体でも止められない負の連鎖、いじめられっ子といじめっ子の視点が切り替わり、複雑に絡み合った因縁がほどけていく展開。

これらすべてを全16話でまとめあげた力量は新人離れしており、話題沸騰＆コミックス即重版も納得だ。

道具立て自体に目新しさはないし、まだまだ粗削りな部分も多いが、それでもここまで読み手の感情を揺さぶることができるのは作品に力がある証左。
ずば抜けた演出力を堪能してほしい。

ストーリー性
キャラクター性
画力
読後感

地球にハッピーを広めるため降り立った不思議な力をもったハッピー星人・タコピー。ラッキー、ハッピーな宇宙人と田舎の女の子の心暖まる心の交流と思わせてくれるのもほんの少し。
「人生は幸福と不幸があざなえる縄のごとし」の言葉にあるように交互にくるなんてまるで嘘！？
ハッピー星人・タコピーは助けてくれた少女・しずかの笑顔を取り戻しハッピーにするため奔走するが、少女を取り巻く環境はかなり壮絶な状態。

登場人物はせいぜい4～5人程度。たったそれだのなのに人間特有の「寂しさ」「欲」「自分さえ良ければ」の思いと行動が複雑に絡み合うとそこには避けられないブラックホールが生まれる。
閉鎖的な空間での独自の世界観と各キャラの心情もしっかりと描かれ、一度読み始めると止まらない。
しずかが単に可哀そうなヒロインではなく、いじめっ子のまりなの方にも子供なりの事情がある。

この二人のどちらが悪いの？ではなく、諸悪の根源を突き詰めると解決の糸口がなく絶望感に捕らわれる人もいるだろう。
「善」と「悪」、「被害者」と「加害者」の境界線はどこに？

話を追うごとに人間社会の状況を少しずつ理解していくタコピー。まりなちゃんの部屋で真のまりなちゃんを理解出来てきて慟哭する姿にあなたは何を思うだろうか。
宇宙人なので人間達の心の機微を上手く上手く理解できないタコピーをみていると時にもどかしくなるだろう、でも冷静に考えると明日の身近な出来事に対してタコピーになっているのは自分かもと思う。