『花四段といっしょ』感想スタンプ・評価点数でどこが面白い？良い点は？関連作もまとめて紹介！

ストーリー性
キャラクター性
画力
読後感

もともと一定の需要はあったが、藤井聡太ブーム以降はタマ数がますます増えた将棋マンガ。そのほとんどがプロの世界の厳しさを経験しつつ、主人公が棋士としても人間としても成長していく物語となっている。

しかし本作『花四段といっしょ』は、「熱い勝負」や「主人公の成長」を描くことを完全に放棄！　そんなんで将棋漫画が成立するのか？　するんですねぇ。

主人公は日本将棋連盟に所属する花つみれ四段。中性的なルックスだが、男子である。順位戦ではピラミッドの最下層・C級2班に在籍。
ここで勝ったり負けたりを繰り返す、（言葉は悪いが）平凡な若手棋士だ。とはいえ、超狭き門のプロになった人間は、全員将棋超人である。そのなかでも（羽生善治のように）突出した人間だけが頂点まで上り詰めるのである。

そんな花四段、かなり雑念が多い人で、対局中にしょうもないことが頭をめぐって仕方がない。
対局相手がつけている高級な時計、アラームを解除せずにロッカーの中に入れたスマホ、脳内盤面で動き回るお人形……。さらに食事のときには何を頼むかを悩み、自販機で飲み物を買うときすら長考してしまう。

別にこだわりがあるわけではない。雑念が多すぎて、決められないのだ。「そんな棋士、いるかーい！」と突っ込みが入りそうだが、将棋超人も人間。気が散ることだって多いだろう。そこを抽出してデフォルメしたコメディが本作である。

とにかく徹底的に小ネタにこだわっており、将棋ファンならニヤリとすること請け合い。かつ、将棋のルールを全く知らない人でも無問題という親切設計。
これまで将棋漫画というだけで敬遠してきたアナタに、ぜひとも読んでほしい逸品（珍品？）だ。