『ザシス』感想スタンプ・評価点数でどこが面白い？良い点は？関連作もまとめて紹介！

ストーリー性
キャラクター性
画力
読後感

森田まさのりと言う作家を天才だと思ったのは『ROOKIES』の時だ。

自分は『ろくでなしBLUES』のリアタイ世代なので、前田太尊のあのガタイから繰り出されるガツンと衝撃が伝わりそうな喧嘩シーンだけじゃなく、口元ヒン歪めた恫喝顔から千秋ちゃんに向ける最高に優しい表情への、そのキャラ造形の深さにノックアウトだった。
いいヒーローだと思った。
喧嘩漫画ではあるが、青春モノとして毎週ワクワク読んだのだ。

その森田まさのりが野球漫画を描き始めた時、冒頭はヤンチャ教師のろくでなしBLUESかと思いきや。
どんどん野球漫画として成立して行って、1試合1試合にドキハラして、空に舞う白球の演出に涙が出た辺りで･･･
ああ。森田まさのりは天才だ。と遅まきながら認識したのだ。

ROOKIESが大人気になったのは当然だ。
面白い。そして涙が出るような高校野球ドラマがあった。感動した。(映画も良かった)

その森田まさのりが次の『べしゃり暮らし』連載中に体調不良があったとの事でリアルにハラハラさせてくれた上で、今度はホラーを描くと言う。
２重にハラハラさせてくれる気らしい。

それが本作『ザシス』。イジメ被害の回想シーンは本当に胸糞悪くなる描写の連続で、並行して描かれる異常殺人シーンの方がよっぽど真っ当に見えるレベル。

この加害者達はどんな目に遭っても当然。と言う気にさせる。

なのに、そこに正義感が強く何度かそのイジメを制止しようとして主犯者らに殴られた過去を持つ主人公が微妙なポジションとなる。

冒頭にスティーブンキングの話題を出して来るあたりで「じっくり根回ししてから落として来るタイプかな？」
と想像した読者を裏切らず、1巻丸々かけて漸く状況が見えて来る。

しかもイジメ被害者による復讐系サイコホラーかと思わせておいて、それでは説明が付かない恐怖を第１巻ラストに持って来た。

さて。ここで「一点の曇りなき正義感」と言う、対ホラー最強カードは失われている。

この先どうなるか？
ビビリながら続きを読む手が止まらないこと請け合いである。

森田まさのり先生。是非この責任を取って体調管理万全でお願いします。
我々はもう、続きを読まないではいられないのですから。