『地獄の教頭』感想スタンプ・評価点数でどこが面白い？良い点は？関連作もまとめて紹介！

ストーリー性
キャラクター性
画力
読後感

小・中・高を通して校長先生の顔はぼんやり覚えていても、教頭先生のことは名前も顔もきれいさっぱり覚えていない。卒業アルバムをひもといても、まったく記憶にない。当レビューを読んでいる95％（成人限定）以上の方が「私もそうだな…」と共感していただけると思う。だがしかし、その影の薄さとは真逆に教頭の仕事は激務である。校長と一般教員をつなぐ管理職ということのみならず、物的管理、運営管理など…要約すれば雑用が非常に多いのだ。

主人公は偏差値低めの県立高校に教頭として赴任した近衛修文（52歳）。ガタイはいいが穏やかそうなルックスで、生徒たちからは校務員と間違えられるほど存在感は薄い。しかしこの教頭、実は誰よりも学校のこと、教育のこと、生徒のことを考えており、そのためには手段を選ばない恐ろしい男なのだ。女性や同僚の女教師に色目を使う非常勤教師、一筋縄ではいかないイジメ問題、なかなか踏み込みにくい家庭内暴力、厄介なモンスターペアレント。近衛教頭は時には犯罪に手を染めてでも問題の芽を摘み取り、強引に解決へと導いていく。

いわゆる必殺仕事人的な設定ではあるが、教頭という特殊な立場の「おじさん」を主人公としたことで物語にコクが出た。近衛自身にも複雑なバックボーンがありそうで、そこが少しずつ明らかになっていくところもキモ。新味あふれる学園ハードボイルドをお試しあれ。