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漫画家になられて良かったと思ったことは?「漫画家は机が命」

掲載日:2008.05.24

「漫画家は机が命」の巻


希望の春
希望の門出
今日は
卒業式
卒業生のみなさん
おめでとうございます
おめでとうございます

小学校の卒業式の呼びかけを手遅れな感じで小粋にパクって始まった「絵答え」ですがみなさんいかがお過ごしでしょうか。
ちなみにMy呼びかけは「集団登校」でした。

来ましたよアレが
月のものが!
それと質問が!!
その数3通!!!

今回の質問はコーナー開始前に集まったもので、仕込み無しのこの数字が何を表しているのかは深く追求しないようにしますが、便りの無いのが良い便り、前を向いて下も剥いて絵答えていきたいと思う所存、いやSHOW・ZONEです!

【きうずさん】
はじめまして!羽生生純さんの大ファンです!
初めて読んだ漫画は、ワガランナァーでした。
浮浪者が主人公という衝撃的な内容に爆笑!
黒落としの独特のタッチに憧れすら覚えました!
そんな羽生生純さんに、質問があります!!
羽生生純さんは、漫画家になられて良かったと思ったことはありますでしょうか?
特に個性的な作品を書かれる羽生生純さんには苦労も多かったのではないでしょうか?
そのへんのところをズバッと教えて頂きたいのです!
私も今漫画家を目指して今頑張っています。
ぜひいろいろ教えてください!
宜しくお願いします。

この質問を選んだのはもちろん「大ファン」というチャームポイントがあったからですが、主成分は「今のうちに漫画サイト内コーナーとしての役割を果たす質問に答えておいて後で楽になるように脱線していこう」という下心ですよ。

漫画家は誰でも簡単になれます。

名乗ればよいのです。

もしかしてどっかで読んだものを自分が思いついたように書いてるかもしれませんが気にせず続けると、まず「漫画家」というのは自己申告の職業です。
必要な資格があるわけでもなく免許も要らず、自分で「私は次世代の手塚治虫たるべく現れた期待の新人漫画家である!」とか何とか高らかに宣言しさえすればもう「漫画家」です。
それは「俺はロリコンでごす」とか「わたし委員長メガネドジツンデレ娘」(よくわからず書いてます)、もしくは「そういうのが大好物」みたいな、今風(?)にいうと「属性」なのです。

でも職業としての「漫画家」ももちろんあるわけで、社会的にも認知されてて俺なんかよりガッポリ稼いでる人が山のようにいて有名人やセレブリティとの交流も盛んであんな事やこんな事までしたりしてギャーーーーー!!!

(立て直し中)

...今現在私は下層ながらもありがたいことに職業欄に「漫画家」と書けていますが、自分にとって「属性」の漫画家と「職業」の漫画家が初めて一致したのは『ファミ通のアレ(仮題)』という作品を始めた時でした。
それは単純に「メインの稼ぎが漫画」というルールをつくり、それをクリアしたかどうか、がその境界線で、それまで自転車部品の卸問屋の寮に住み込みでバイトしながら短編やイラストで微々たる原稿料をもらってたのが、週刊連載が始まるにあたりバイトを辞めて自分でアパートを借りて原稿料だけで飯を食うようになったのが「属性」と「職業」が一致した瞬間だったわけです。

日の当たらぬボロアパートで冷蔵庫も洗濯機も無し、という下層生活でしたが、下層は下層なりになんとか生きていけるもので、彼女のお古の冷蔵庫と洗濯機を貰ったりしてしのいでいました。

ああそうだ、それにまともな机すら無くて、ヘボい折りたたみ机でフラフラしながら描いていたのですが、当時『しあわせのかたち』連載中の桜玉吉さんが要らなくなった机を私が「欲しいっす!」といったら深夜わざわざ車で届けてくれて、朝玄関前にデンと置かれた机に「玉吉参上」と書かれた張り紙を見て感動したのを思い出しました(その机は『シャーマンキング』の武井宏之さん(武井さんにはお会いした事すら無いのですが玉吉さんとかビッグネームを挿入するとアクセス数がアップするかなと思ってグヘ!)がアシスタント時代に使ったこともある机らしく、実は今でも仕事机として目の前にあるのです)。

とにかく漫画で稼いだ金でウハウハしたことは一度もありませんが、「漫画家」と名乗れる気分はウハウハでした。

もちろんこれは私だけの勝手に決めた無根拠ローカルルールで、みんなそうすれ!などというものではありません。
描きたいものを描くだけなら、今はそれこそマンガナビのようなネットや同人誌など発表の場があり、自己表現欲をいくらでも満たすことはできると思いますが、私の場合は上記の「俺ルール」を満たして初めて「良し」となるので、もしも芽が出ず田舎にとんぼ返り、とか東京でプー、とかになっても漫画は描いていたと思いますが、決して「漫画家」とは名乗らなかったと思います。

それに今後、直径50kmのイチジク浣腸が地球に落下、とか右手に死霊が取り憑いてやむなく切断、とかその他諸々不測の事態が起こり「漫画家」と名乗れなくなる日がいつ来るかもわかりません。

私にとって「漫画家になって良かったこと」...
それは「漫画家になれたこと」...かな
...フーッ(顔キメ中&紫煙くゆらし中)

なのでこれから「漫画家」と名乗ろうとしている人は、少なくともどんな「漫画家」になりたいのか、とりあえず漫画を描いて同じ趣味の人たちと仲良く楽しくしていればそれで満足なのか、それとも下層でもいいから「属性」と「職業」両方を含めた漫画家になるのか、くらいは決めておいたほうがいいと思います。
なにしろ自分が自分の意思を徹して動くという事は、自分の人生だけでなく家族や親戚友人知人仕事関係全ての人になんらかの影響(もしくは迷惑)を及ぼす行為であり、それはどんな職業でも同じだからです。

...てもちろん俺はそんなうんざりするような事なんか考えもせず、ただ「俺ルール」をクリアしたいと思ってただけですけど。

いやあ、酔っ払って鬱陶しがられながら話すようなことを書いてお金もらえるなんてありがたい職業ですよウッハッウッハッ!

じゃ今回はこのへんで集団下校!


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羽生生 純(ハニュニュウ ジュン)
漫画家 1970年生まれ 1992年デビュー

代表作
『アワヤケ』 『青 -オールー-』 『恋の門』
『1ページでわかるゲーム業界』 『ワガランナァー』
『サブリーズ』 『強者大劇場』


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