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「原作ファンの1人として、『黒執事』を撮りました」実写映画『黒執事』大谷健太郎監督インタビュー

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実写映画『黒執事』大谷健太郎監督インタビュー
原作ファンの1人として、『黒執事』を撮りました

「黒執事」(くろしつじ)は、枢やな(とぼそ やな)さん原作、「月刊Gファンタジー」(スクウェア・エニックス刊)にて2006年10月号から連載中の、シリーズ累計発行部数1,800万部以上(海外分含む)を誇る大人気マンガです。2014年1月18日には、最新の「黒執事」18巻と「枢やな画集 黒執事 1」が発売されます。本作はこれまでにドラマCD、TVアニメ(第1期2008年、第2期2010年)、Webラジオ、ゲーム、舞台、カリーパンなどの多様なメディアミックス展開も経ており、国内外の多くのファンに愛されてきました。そして2013年1月には水嶋ヒロさん主演による実写映画化が発表され、これまで以上に世間の注目を集める存在となっています。2014年1月18日からの全国ロードショーを目前に控えた12月某日、本作の監督である大谷健太郎さんに、制作時のエピソードやご自身のマンガ体験をお伺いしました。

大谷健太郎(おおたに けんたろう)/プロフィール
映画監督。1965年生まれ。京都府出身。多摩美術大学在学中に制作した8ミリ映画『青緑』が1988年のぴあフィルムフェスティバルに入賞。1991年に『私と他人になった彼は』で3部門を受賞。1999年『avec mon mari アベックモンマリ』で劇場用映画デビューを果たす。代表作には『NANA』(2005年)、『ラフ ROUGH』(2006年)、『NANA2』(2006年)、『ジーン・ワルツ』(2011年)、『ランウェイ☆ビート』(2011年)などがある。

悪魔と人間の主従関係が揺らぐ瞬間が好きですね

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ーー実写映画『黒執事』の完成、おめでとうございます。先行試写会で拝見し、楽しませていただきました。早速ですが、大谷監督が制作に参加されたのはどのタイミングからだったのでしょうか?

大谷健太郎監督(以下、大谷監督):本作は最初に松橋真三プロデューサーが企画を起ち上げ、水嶋ヒロさんに主演のセバスチャン役を依頼したという経緯があります。私に声がかかった時点で、既に水嶋さんの出演は確定しており、脚本もある程度はできていました。これは面白い企画だと感じたので、ぜひやらせてほしいと即答し、早速原作の「黒執事」を読んだのです。映画の脚本は原作とは違うオリジナル設定(※1)になっていましたが、原作で大切にされている本質はリスペクトしたいという思いがありました。

(※1)オリジナル設定/原作では19世紀末期のイギリスだった舞台が、映画では近未来、西洋と東洋の文化が入り乱れた大都市に変更されている。さらに登場人物に関しても、原作のテイストを残しつつ、映画の舞台に合わせたオリジナル設定へと一新されている。

ーー原作の印象は如何でしたか?

大谷監督:サーカス団が出てくるシリーズ(※2)まで読んだ時点で「これは素晴らしいマンガだ!」と思いましたね。この世界観やメッセージを映画にも取り入れなければいけないと感じたのです。サーカスの話は水嶋さんも大好きで、このシリーズを象徴する「人間なんだよ!!セバスチャン!!」というセリフを映画でも使いたいというアイデアを出されました。

(※2)サーカス団が出てくるシリーズ/原作の6巻~8巻に掲載されている。前述のセリフはシリーズの終盤、第36話(8巻掲載)に登場する。

ーー映画の予告(映画の予告)でも、剛力彩芽さん(清玄役)によるそのセリフのシーンが使われていましたね。他にも冒頭の水嶋さんのセリフ、中盤の山本美月さん(リン役)によるガンアクションなど、原作ファンにはお馴染みの要素が各所に配置されていたのが印象的でした。

大谷監督:私は過去にも『NANA』や『ラフ ROUGH』などでマンガの実写映画化を手がけていますが、常に原作の魅力やイメージを大切にするよう心がけてきました。今回の山本さんが戦うシーンでいうと、原作の戦闘シーンと同じような印象にしたくて、スカートの見せ方ひとつにもこだわっています。原作と見比べて衣装を研究し、「たくし上げ」ができるようにスカートを改良しました。

ーー「黒執事」の場合、原作の魅力はどこにあると感じていますか?

大谷監督:一番面白いのは、悪魔と人間の主従関係じゃないでしょうか。悪魔であるセバスチャンは、人間である主人の行動を1手先、2手先まで読み通すことができます。ところがふとした拍子に予想外の行動をとられると、セバスチャンがドキッとした表情を見せる。そうやって両者の関係性が揺らぐ瞬間が凄くドラマティックで、私は好きですね。

ーーそんな主従の関係性を、映画では水嶋さん&剛力さんが演じてくださったわけですね。

大谷監督:加えて、人間の憎悪や悪行は愛と裏腹の関係にあるということも描こうと決めていました。原作は女性ファンが多いので、映画も多くの女性に観てほしい。女性の心に響かせたければ、愛をしっかり描かなければいけないと考えたのです。原作を読んでいても、愛をひねり潰された善人が、道を踏み外して墜ちていくというエピソードが随所にあります。あまり語ると映画のネタバレになってしまうのでこれ以上の言及は避けますが、この要素もぜひ映画に入れたいと思いました。

ーー「黒執事」はアニメにもなっていますが、ご覧になりましたか?

大谷監督:はい。この作品のどういう要素が愛されているのか、それを分析しながら見ましたね。原作と同様、アニメの「黒執事」も勧善懲悪のわかりやすいヒーローものではなく、登場人物の誰もが二重三重に屈折していました。だからこそ、リアルな物語に感じられるのだと思います。決して前向きには進んでいないのに、ドラマを観終わった後にグイッと背中を押されたような気持ちになれる。その感じは凄く好きですね。

ーーマンガを実写で撮っていくなかで、どんな点に苦労されましたか?

大谷監督:一番苦労したのは水嶋さんだと思います(苦笑)。原作のイメージに近付けるため、食事制限をして体重を50キロ台まで絞られたのです。さらにクランクインの4ヶ月前からアクションのトレーニングを開始して、各シーンの立ち回りを身体に叩き込んでくれました。そのかいあって、撮影本番の水嶋さんのアクションは素晴らしいものに仕上がっていたのです。必死になって汗をかきながら決められた動線をなぞるのではなく、自らの意思で動き、涼しい顔で薄ら笑いを浮かべてその場を支配する。そんな悪魔を見事に演じきってくれました。素の自分が出ればお客さんを興ざめさせてしまうから、悪魔を演じつつアクションをこなせるレベルにまで到達したいと、周囲を圧倒する意気込みでがんばってくれたのです。

ーー確かに、スクリーンのなかの水嶋さんには抜きんでた存在感がありましたね。

大谷監督:水嶋さんにとっては3年ぶりの映画復帰作ということもり、並々ならぬ情熱を注いでくれました。悪魔を演じるための水嶋さんなりのこだわりは、映画の随所に散りばめられています。例えば、演じている最中の水嶋さんは瞬きを一切しない。よく見ると凄く不気味な存在ですよ。本作にかける水嶋さんの情熱が、私を含めたスタッフ全員の士気を高めてくれましたね。

ーーそんな圧倒的な力を持った悪魔なのに、武器は"あくまで執事"のテーブルナイフという設定が、映画でもしっかり活かされていましたね。

大谷監督:これで刺されると普通のナイフよりもずっと痛そうで、見ようによっては残酷だなと思いました。ただし残酷すぎる描写はねらっていなかったので、どちらかというとユーモアの意味を込めたつもりです。セバスチャンは悪魔なので、やろうと思えば一瞬で街を火の海にできる力を持っている。それなのに、あえて人間世界に降りて来て人間と戦う遊びをしている。戦っているシーンでも、セバスチャンにとっては遊んでいるという心境なのです。そこまで表現したいよねと、水嶋さんも私もこだわっていましたね。セバスチャンは常に人間を高みから見物していて、悪魔といいつつ、何が善で何が悪かということすら気にかけていない。でも彼は人間のダークな部分を浮き彫りにしてしまう鏡なので、人間と接点を持つことでドラマが生まれる。原作を読んでいても、この展開には引き込まれました。

仕事の根底にあるのは、楽しませたいという気持ちです

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ーー大谷監督ご自身のマンガ体験についてもお伺いしたいです。普段からマンガを読まれていますか?

大谷監督:読みますが、最近は仕事がらみの場合が多いです。子供の頃はマンガが大好きで、「キャンディ・キャンディ」(1975~1979)は妹と一緒に小遣いを出し合って買いました。他には「スケバン刑事」(1975~1982)や「ガラスの仮面」(1976~)なども読みましたよ。マンガ家になりたいとは一度も思わなかったのですが、朝から晩までマンガを描いてマンガ雑誌を作って自分で読んでいました。できの良いものだけは妹に読ませたりもしてね(笑)。私にとって表現することは生活の一部で、特別な気持ちの切り替えが必要なことではありませんでした。ただ、自分のために行っていた表現が、ある時点からはお客さんのための表現になり、それで生活ができるようになりました。

ーー映画作りに目覚めたのはいつ頃ですか?

大谷監督:大学に入って映画サークルに所属してからですね。勉強や就職だけじゃない、何か面白いものと出会いたいという気持ちがあって、多摩美術大学芸術学科に入りました。ここなら学芸員の資格が取れるし、一般的な勉強だけを強いられることはないだろうと思ったのです。結局、映画作りに夢中になってしまい、学芸員の資格は取れずじまいでしたけど(苦笑)。オーソン・ウェルズという映画監督(※3)は映画制作のことを「最高のオモチャ」と表現しています。まさにその通りで、映画をオモチャにして遊ぶような感覚で作り続けていましたね。

(※3)オーソン・ウェルズ/1915年生、1985年没。ハリウッドを代表する映画監督・脚本家・俳優。25歳の時に手がけた処女作の『市民ケーン』(1941)では制作・監督・脚本・主演を務め、アカデミー賞 脚本賞を受賞した。

ーー今現在の映画制作も、その延長線上にあるのでしょうか?

大谷監督:いえいえ、ちゃんと仕事としてやっていますよ。私は悪魔ではないので、遊び感覚ではやっていけません(笑)。私の仕事の根底には、お客さんを楽しませたいという気持ちがあります。かつて自主制作映画を作っていた頃に、何を表現すれば良いのかわからなくなった期間がありました。そのとき、エルンスト・ルビッチ(※4)監督の映画に出会ったのです。観終わった後に凄く幸せな気持ちで満たされて、自分もこの幸福感をお客さんに味わってもらえるような映画を作れば良いのだとわかったのです。その体験が、今の仕事へとつながっています。だから今回の映画も、10代~30代の女性や、「黒執事」の原作ファン、水嶋さんのファンなどの顔を思い浮かべながら制作しました。この仕事に必要なものは、お客さんに楽しんでもらいたいというサービス精神だと思っています。

(※4)エルンスト・ルビッチ/1892年生、1947年没。ドイツ出身の映画監督・映画プロデューサー。ハリウッド・コメディの礎を築いたとされており、日本の小津安二郎監督の作風にも影響を与えている。

ーーお客さん、つまりは視聴者や読者、ユーザを楽しませるのが仕事というお話は、映画制作だけでなく、マンガやアニメを含めたあらゆる表現に共通しますね。

大谷監督:その思いは水嶋さんをはじめ、他のキャスト、スタッフにも共通していましたね。この映画はアクション満載のダークミステリーですが、観終わった人の心に何かが残る作品にしたいというこだわりが我々のなかにはありました。それを追い求めて全員で1つの曲を作っていくような、まるでバンドのような感覚で臨めた映画制作でした。この映画にはアクション、ミステリー、人間ドラマなど、凄く多角的な要素があって、皆が色々な視点から意見やアイデアを出し合いながら練り上げていったのです。才能ある人の意見を柔軟に取り入れ、その魅力をスクリーンに焼き付ける、それが監督の仕事なのだと再認識させてくれた貴重な体験でした。

ーー今回は共同監督として、さとうけいいち監督も参加されていましたよね。人気TVアニメ「TIGER & BUNNY」(2011)の監督ということで、注目しているファンも多いと思います。本作でのさとう監督との仕事で印象に残っていることを教えていただけますか?

大谷監督:脚本からビジュアルを膨らませる準備段階で、数多くのアイデアをいただきました。私には思いつかないような奇抜な見せ方や、アニメ的なカット割りの絵コンテは面白かったですね。美術に関しても、さとう監督との議論を経ながら固めていきました。映画版『黒執事』の舞台は近未来という設定だったので、さとう監督からは『ブレードランナー』(1982)のようなイメージ、日本映画にはないダークなイメージという提案がありました。日本という設定にすると観ている人が興ざめするだろうから、近未来とレトロ、西洋と東洋が融合したアジアの架空都市という設定にして、誰もがすんなりと映画の世界観に入り込めるようにしようと議論したのです。

ーーでは最後に、「マンガナビ」のユーザに向けてメッセージをお願いします。

大谷監督:私自身も原作ファンの1人なので、ファンを代表して実写映画『黒執事』を監督しました。原作への愛情は映画を観ていただければ伝わると思うので、ぜひ劇場に足を運んでほしいです。我々が大切にしたかったことが、観ていただいた方々にも伝われば良いなと願っています。

『黒執事』

2014年1月18日(土)新宿ピカデリーほか全国公開 ■出演:水嶋ヒロ 剛力彩芽 優香 山本美月 大野拓朗 栗原類 海東健 ホラン千秋 丸山智己 
城田優 安田顕 橋本さとし 志垣太郎 伊武雅刀 岸谷五朗
■原作:枢やな(掲載 月刊「Gファンタジー」 スクウェア・エニックス刊)
■主題歌:ガブリエル・アプリン「Through the ages」(ワーナーミュージック・ジャパン)
■監督:大谷健太郎 さとうけいいち  ■脚本:黒岩勉
■製作:映画「黒執事」製作委員会 
■制作プロダクション:C&Iエンタテインメント 共同制作プロダクション:ロックワークス
■配給:ワーナー・ブラザース映画
■コピーライト:(c)2014 枢やな/スクウェアエニックス (c)2014 映画「黒執事」製作委員会
■公式サイト:kuroshitsuji-movie.jp ■Facebook : facebook.com/kuroshitsujimovie
■Twitter : twitter.com/kuroshitsuji_m

【映画『黒執事』お問い合わせ先】共同PR(WEBメディア)肩谷・平野・辻 TEL:03-3571-5328
ドリーム・アーツ(紙・電波)甲木・曽根・齋藤・飯塚・佐原・八百板(やおいた) TEL:03-5969-8081
ワーナー・ブラザース映画マーケティング本部  TEL:03-5251-6431
【原作『黒執事』素材お問い合わせ先】  スクウェア・エニックス:出版営業部(難波)TEL:03-5292-8300

PHOTO_佐藤聡子
TEXT_尾形美幸(EduCat)

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