大人の男女の恋愛漫画は切ないから大人の魅力まで人気の51点

作品紹介

誰もが顔見知りの閉塞的な田舎町で繰り広げられる泥沼の人間模様。ヒロインは、モラハラとDVが当たり前の家庭で育ち、自己肯定感が0になってしまった捻木深愛（ねじき・みあ）だ。

亡き父に「お前はなんの取柄もないのだから、せめて人の役に立ちなさい」と厳しく言われてきた深愛は、地元のスーパー「すずらん」で細々とバイトをしているフリーター。

彼女の心のよりどころは店長の那須川。
妻子持ちの冴えない中年だが「こんな自分のことを、ちゃんと見ていてくれた人」と慕っている。深愛は本気で彼との将来を考えていたのだが――。

深愛の「好きな人に幸せになってほしい」に嘘はない。しかし、不器用な彼女は予想外のベクトルに暴走を始め、那須川の家族をカオスへと導く。
堕ちるところまで堕ち切った彼らのその先に、何が待ち受けているのだろうか。

作品紹介

スーパーの裏の喫煙所で出会った、若くて気が強そうな女性店員の山田さんと、くたびれた40代サラリーマンの佐々木さん。彼らはタバコをくゆらせながら他愛もない会話を繰り広げるだけだけど、そのシンプルなやり取りが読者にとって最高の癒しになる。

佐々木さんはいつも、山田さんの爽やかな笑顔を見ているだけで幸せな気持ちになっていた。しかし、彼は決して山田さんに個人的にどうこうしようとの興味を持っているわけではなかった。

そんな中、スーパーのレジ裏で山田さんの情報を教えてくれる、ピアスと革ジャンが似合うちょっと怖そうなお姉さん・田山さんが現れる。

彼女も同じスーパーの従業員だった。佐々木さんは爽やか過ぎガールの山田さんの神的対応の素晴らしさに感動し過ぎていて、山田さんと田山さんが同一人物だと気づいていない残念さ。

しかし、田山さんは佐々木さんのことを気になり始めて……。40代以上の男性諸氏、このロマンティックなストーリーにどっぷり浸ってみては？山田さん＆田山さんに癒されること間違いなし！

さぁ、再び40代男性達の女神が現れた！手に取って癒されましょう。

作品紹介

夫と死別した園田れみ（39歳）は、中2の娘・るりと実母・りらと3人で暮らしている。ある日、かつて隣に住んでいた同級生の鍵谷季が出戻ってきた。美しい奥様をめとり、婿養子に入ったものの、とある理由から離婚をすることになったのだ。幼いころから仲はよかったが、決して恋愛関係になることはなかった2人。大人になった彼らは、紆余曲折を経たことでどんな関係に発展するのか――。

うーむ、さすがはいくえみ綾。いつもながら演出の巧みさに唸らされる。ぶっちゃけていえば手垢のついた設定だ。幼なじみもお隣さんも少女漫画の定番。それをアラフォー男女に置き換えただけの話である。れみ＆季にしても、ルックス・スペックともに突出した特徴のないキャラクターだ。恐らくそれは“あえて”だろう。おかげで大人の読者たちは彼らを器にして、作品のなかに深く没入することができる。

時間をかけて2人が築いてきた繊細な距離感が、若いころの回想シーンを挟みつつ紐解かれていく。相手のことを考えると、漠然とした不安に襲われる……。その正体はなんなのか？　近づいては離れる2人の関係にひたすらそわそわしながら、ページをめくるべし！

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セミの合唱が凶暴なまでに鳴り響くとある夏の日。ボロアパートの一室で若い男が首をくくりかけていた。けっきょく死にきれなかった男（仮名・北）は、たまたまテレビで流れていたグルメ番組を観て「27年間一度も蟹を食べたことがない」と気づき、「北海道で蟹を食べて、それから死のう」と決意する。北は旅の資金作りにたまたま図書館で見かけた人妻・雪枝の家に押し入る。しかし、なぜか雪枝は北を受け入れ、北海道行きのパートナーを申し出るのだった――。

数分前までなんの接点もなかった凶悪犯罪者と完熟ボディの人妻が、意気投合して官能的な逃避行！　ご都合主義もここまでくると清々しいが、ミステリアスな雪枝にも複雑な事情があるようで、北海道への道中に少しずつ過去がひもとかれていくことになる。運命的に出会った2人のかりそめのイチャラブを楽しみつつ、悲しい結末もぷんぷん匂わせる。様々な事情を抱えて大人ならではな純文学的味わいを堪能すべし。

作品紹介

イラストレーターとして活躍中の嶽まいこ（だけ・まいこ）がコミックスデビュー。タイトル通り“夜”をテーマにした短編集だ。大好きな上司と2人きりの地方取材、ビジネスホテルの部屋は隣同士！ ビールとつまみを買ってドキドキしながら隣の部屋を訪ねるイシちゃんの淡い恋心を描く「ビジネス・ロマンス・ホテル」、結婚を控えた36歳のOLが結婚式用のネタを探して10数年前の自分のブログを掘り起こす「追憶のネットサーフィン」など、ちょっと意外なオチが用意されたエピソードが12話並ぶ。

“ふつうの夜”と謳ってはいるが、ヴァンパイアや魔法少女が主人公だったり、小型ロボットが登場したりとSFやファンタジーに舵を切った作品も多数。とはいえ、ぎょっとするような展開があっても、最後は必ずほっこりできるのでご安心を。疲れた夜に最適のリラクゼーションコミックだ。各話の登場人物たちが宴会場に勢ぞろいする、おまけの「打ち上げ」4コマも楽しい。

作品紹介

ひとことで説明するならば“年の差ガールズラブ”ということになるのだろう。しかし、本作はそんなざっくりとした文字列では語り尽くせぬ人間賛歌である。

黙っていれば美人なのにアニメ（『アグリ イン オカヤマ』）にズブズブの腐女子OL・相沢さん。彼女には“神""と崇める絵師がいた。アグオカ放送終了後にすぐさま世界観・関係性を抽出したイラストをアップするアカウント名“ミスミ”だ。

相沢は常に熱烈な即リプを送りつけていた。そのミスミが同人誌イベントで本を出すことを知った相沢は、いてもたってもいられずに会場へ。しかし、お目当てのブースにいたのはキュートな女子高生。思わず相沢が口にした言葉は「好きです！」だった――。

もともとSNS上でアイ（相沢）のことを意識していたミスミもドギマギし、彼女のことばかりを考える日々に。果たしてこれは恋なのか。同じアニメが好きな腐女子同士というだけなく、違う感情も抱きながら付き合いを続ける2人が尊すぎて、可愛すぎて、辛抱たまりません！

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『春の呪い』でブレイクした小西明日翔の次作は、危険な臭いが充満するハードコアなツン×ツンのラブロマンス。大阪の極道一家・染井組の孫娘・染井吉乃は、どうにか平穏に女子高生をやっていた。そんな折、染井組は東京を牛耳る砥草会直系にあたり深山組と兄弟盃をかわす。だがこの東西巨大組織の和睦に絡めて孫同士が婚約間近という報道が……。何も聞かされていなかった吉乃だったが、なりゆきで東京へ出張ることに。そこで出会った婚約者になるかもしれない深山霧島は、同い年の高校生だったが、すでに立派な裏社会の人間で――。

突拍子もない設定だが、小西明日翔の剛腕で強引に読まされてしまう。なにせ、とんでもない暴力性・嗜虐性の持ち主である霧島からして、その内面はとんでもない嗜好をもっており、自分の人生をめちゃくちゃにしてくれる女が現れるのを心待ちにしているというキャラクター。一方、ちょっと派手顔で強気な大阪娘といった程度で、ごくごく普通の女の子だった吉乃。しかし霧島との出会いで、少しずつ彼女も変化していくことになる。東西裏社会組織の思惑もどっぷりで、ヤバいベクトルにしか転がりそうにないが、そこが刺激的でたまらない。ぬるい恋愛譚に飽き飽きしている大人の諸兄にオススメですよ！

作品紹介

表紙の彼女の表情に惹かれ手に取り、そしてその内容にビックリ！
黒髪ロングの美少女JK（17歳）がバツイチ・子持ちの中年男（45歳）に恋をする物語。
それ有りなの？の設定。でも中身は胸キュン満載な少女漫画路線まっしぐら。
このギャップが人気になり、男女問わず、全世代の読者の胸を鷲掴みで話題になった作品！

普段は無表情で何を考えているのかわからないヒロイン“あきら”が、大好きな店長のことになると途端に表情豊かに、このシーンを見るだけで「あぁ、恋をしてる」とキュンとなります。もう彼女の表情をみるだけで幸せな気持ちで満たされます。

でも一方で読み手は何でこんな可愛いくていい子が恋を？年の差設定にも程があろう！！とも。

純粋にまっすぐ「好き」と店長の近藤に伝えるあきら、そんあきらを純粋に眩しいと感じる店長の近藤。近藤も女子高生から告白されたからといって浮かれず、周囲の目を気にしたり、自分の年齢を考えて逆に戸惑うところもリアルな感じでいい。
店長の近藤がその強い想いをどう受け止めるのか。

二人の出会いが徐々に描かれていき、あきらが店長を好きになったワケもわかってくる。
どうして彼女は好きになったのか？ヒントはタイトルに。

そして、この作品の魅力はもう一つ。それはところどころにカットインされる叙情的な演出の数々。
その演出がとても純文学的な印象を与えてくれで読んでいて美しい。

あきらが恋した謎、振り回される店長・近藤。最後まで読まずにはいられない作品の一つ。
読後は爽快感たっぷり。

作品紹介

あの時間、確かに私たちは恋人同士だった——。出版社に勤務する傍ら作家としての顔も持つ鳴海六朗は、夏祭りの夜に若い女とぶつかる。そして、その美しい横顔を見た瞬間、恋に落ちていた。もう二度と会うこともないだろうと思いつつ、その夜のことを反芻する鳴海だったが、思わぬ場所で再会することに…。

舞台は昭和30年前後のモダンな街並みをもつ東京。40歳にして独身貴族（というほどかっこよくはないが）の鳴海が、まるで中学男子のように自分の年齢の半分ほどの娘＝22歳の雪乃に夢中になる。後姿を見かければ走って追いかけ、会話をしたあとは、あんなことを言わなければよかった。嫌われたかもしれない…と手で顔を覆いながら苦悶するのだ。

うん、男なんていくつになってそんなもの。40代50代の殿方ならば、鳴海の気持ちが痛いほどよくわかるはず。それほどまでに雪乃のツンデレぶりはキュートだし、頬を赤らめるその表情は実に官能的。これぞ大人のファンタジー。「こんな出会い方をしてみたい！」というロマンあふれるラブストーリーである。

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女の子に果物の源氏名（レモン、あんず、ミカンなど）をつけている地方都市のデリバリーヘルス「フルーツ宅配便」を舞台にした人間ドラマ。プレイ中の生々しいやりとりは皆無で、ヌードすら出てこない。

さまざまな事情を抱えた女性たちが、勇気を振り絞って風俗の世界に飛び込み、何かを変え、何かを失っていく物語が1話完結で描かれる。「フルーツ宅配便」の男性スタッフたちが、嬢や客に対して適度な距離感で接している点が本作の特徴。

トラブルに介入することもあるが、決して深入りすることはない。そのため、いわゆる貧困層の悲惨な現実を扱っていても、ベタベタなお涙頂戴にはならないのだ。

登場する嬢たちは、学生や主婦といった、どこにでもいるような女性ばかり。そんな彼女たちが、（金銭的に）のっぴきならない事情を抱えたときの“駆け込み寺”としても機能しているデリバリーの世界だからこそ、「フルーツ宅配便」のような優良業者が増えて欲しいと切に願う。

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仕事の出来るクールなバリキャリOLだって、恋をしたら乙女に戻ってしまうのは当たり前！　老舗お菓子メーカー「ミツバチ製菓」商品企画部の絶対エース・高嶺華(たかみね・はな)・27歳。そのパーフェクトな美貌とスタイルに男子社員はメロメロだ。しかし彼らのアプローチは全てシャットアウト、その名の通りの高嶺の花なのである。

しかし、彼女には秘密があった。何をやらせてもポンコツの後輩社員・弱木君にゾッコンラブなのだ。しかし彼女の恋愛観は小学5年生レベル。気持ちとは裏腹に仕事ではキツく接してしまい、誰もいないところで「あーん、弱木きゅんに嫌われたかも～」と地団駄を踏む毎日。そんなに純情×不器用なオトナ女子・ハナさんの恋が成就する日は訪れるのか？　ニヤニヤしながら監視すべし！

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飯野朋子、通称・パン子は30歳で独身・彼氏ナシ。とある地方の小さな会社に10年以上勤めているが、キャリアはあるのに「言いたいことを言えない」のが悩みのネガティブ系女子だ。

ある日、自転車のチェーンが外れて困っているところをポーカーフェイスで助けてくれたツナギの青年が現れる。イケメンだが金髪にピアスのヤンキー風だ。ほどなく再会すると、彼は自転車店「タカハシ」の息子・高橋遼平だった。

自転車修理をきっかけに交流が深まり、見た目とは裏腹に優しい彼に惹かれていくパン子。デートのときのご飯は、オシャレなお店ではなく近所の中華屋。映画を観るなら恋愛モノではなく『ドラえもん』。

意外な取り合わせに見えて相性バッチリの2人が、少しずつ距離を縮めていく姿にニヤニヤが止まりません！　ヤンキーライクな年下イケメンの世話焼きぶりに、オトナ女子なら胸キュン必至ですよ。

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大原忠実こと通称“まめ”の想い人は、近所に住む5つ年上の赤井聡太。

JC時代にベタボレして以降、何度も告白しては玉砕の繰り返し。そんな彼の初恋の相手は皮肉にも“まめ”の姉。

3つ年上の儚げな由芽（ゆめ）のことをずっと想っていた聡太だったが、その恋が成就することはなかった。聡太は“ゆめ”の友人・春子と付きあい始め、やがて授かり婚をすることに……。

本作には“まめ”以外にも、恋意地の張ったキャラクターがどんどん登場する。みな片想いをこじらせながら、それでも前を向いて進んでいく。

どのエピソードも切なくて愛おしい。そんななか、どうしても次の一歩を踏み出せない“まめ”の片想いだけが別格の強固さを誇っているのだ。

三十路になろうが四十路になろうが引きずり続ける恋があることを、大人はみんな知っている。胸の中がざわざわすること必至の恋意地模様を、どうぞご堪能あれ。
この意地の張った恋はとっても味わい深い。

作品紹介

コンビニでバイトしている大学生の瑠璃は、
毎日必ず同じ銘柄のタバコを二つ購入する
中年の男・逆瀬川のことが気になっていた。
思い切って逆瀬川に声をかけた瑠璃は、
同乗する車の中で、自分の心の中に
未知なる熱い火が灯るのを自覚し――

裏社会で生きる男と女子大生の、危うく切実な恋物語…(アマゾンより引用-リンクは表紙画像から)

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初老の男性である海江田醇、30半ばを過ぎて、過去の失敗を吹っ切れずに幸せからなぜが遠ざかってしまった仕事一筋のキャリアウーマン堂薗つぐみ。
そんな全く接点の無い二人が亡くなった祖母の田舎で偶然ワケアリの共同生活をすることに。

「枯れ」の良さを再認識させてくれた枯れイケメン＝海江田醇。仕事一筋に生きてきたつぐみが祖母の家に帰ってくると、なぜか棲みついた大学教授。著書が賞を取るくらい有名な人で、秘書を初め女性にかなりモテているこの教授がマイペースながらもつぐみには積極的にアプローチして来る。

何気なくつぐみにプレゼントした着物が非常に高価なものだったり、人生で迷っている時にはアドバイスしたりと、財力があり頭もよく、頼れる大人のイケメンである。早くに両親をなくしたその生い立ちも母性本能をくすぐられるのもポイント高い。オーバー50でも、海江田教授と恋愛は十分にアリと、「枯れ」の良さを掘り起して気付かせてくれた。

榮倉奈々×豊川悦司W主演で大人のラブストーリーとして映画化され、数々のシーンが話題となったけど、まずは絶対に原作を読んで欲しい。

作品紹介

若く美しい妻をめとって、我が世の春を謳歌するアラフィフ男に降りかかった悲劇とは!?　西田敏行主演で映画化もされたベストセラー『星守る犬』の村上たかしが贈る“おっさんのラブコメ”。仏具メーカーの冴えない中年営業マン・香川アキオには、誰もがうらやむ15歳年下のトウコという美人妻がいる。

トウコは笑顔がステキな料理上手な美女で、3歳の娘・マリも可愛い盛り。そんな幸せ絶頂のある日、妻の元彼と名乗る男が目の前に現れたから、さぁ大変。よんどころのない事情で別れた2人が再会を果たし、焼けぼっくいに火がついてしまったのだ。

元彼は金回りのよさそうなイケメンで、アキオに勝ち目はない。なにより愛するトウコの気持ちが痛いほど伝わってくる。アキオは渋々ながらも身を引く決心をするのだが、「なんでも言うことを聞く」という2人に仰天の提案をする。アキオが気力を振り絞り、最後のリングに立ち、「私が主役だ」と心でつぶやく終盤戦に、魂を激しく揺さぶられます。

作品紹介

夢破れた20代の女性がふとしたことで身近で出会った50代男性との恋。

出会いは偶然、そんな偶然を必然にして出会いを重ねていくうちに気持ちが寄り添ってくる二人。
次の目標が見つからない20代女性のセンシティブな女性のこころの揺れとそんな彼女をゆるやかに受け止めていく50代の男性の関係が自然に描かれ読んでいて気持ちいい恋愛ストーリー。

恋愛って難しい・・・という気持ちにさせられるけれど、二人の気持ちが結びつくまでのそれぞれの日常も描かれ、単なるラブストーリーではなく地に足がついた感じを丁寧に描いてくれる。

この作者ならではの定評のある女性の気持ちを丁寧に表現する上手な空気感はいつもおすすめ。

大人の男の恋って難しいようで実は素直。
歳を上手くとる、これ男の命題ですね。

作品紹介

当レビューは第1巻がリリースされた直後に書いているが、早くもヒット作『累』を越えて松浦だるまの代表作になりうる傑作の匂いが濃厚に漂ってくる。舞台は江戸後期の天保時代。明日食べる米にも困るほどうだつの上がらぬ中年下級武士の竜土鋼之助は、なかなか仕事にありつけずにいた。

亡き父母の願いは立派な“武士”として生きること。だが、鋼之助には武士の職を全うできぬ致命的な欠陥があった。刃物が怖いのだ。自暴自棄になった鋼之助は、自分を嘲笑する同僚へ無謀にもつっかかり、死にかけてしまう。しかし、何者かに助けられて大事に至らず。それどころか思わぬ出会いが待ち受けていた――。

刃物が怖い武士の前に現れたミステリアスな美女。運命の物語は読み手の想像を越えるベクトルに転がり始める。ネタバレ防止で詳細は省くが、2人にどんな因縁があるのかわからぬまま読み進めているのにもかかわらず、強烈に涙腺を刺激される素晴らしい演出に唸らされる。これぞ大人のラブストーリーであり、大人のファンタジーだ。とにかく先入観を持たずに読んでほしい！

作品紹介

等身大の人物描写で人気のある入江喜和が挑んだ４５歳バツイチ女子の「たそがれたかこ」は、45歳女性をリアルにオバさんに描きながら、それでも大人の胸キュン物語を体験できる深い漫画だ。

毎日満足も不満足もしていない宙に浮いた状態でありながらバツイチでどこか暗く社交的ではない『たかこ』さんは、対人関係についてある種の傷害を抱えている。

たかこはバツイチで母親と2人暮らし。スーパーのパートをしている。ほぼ毎日夜に河川敷でお酒を飲んでたそがれていたなか、ふと寄った居酒屋の店主のオジサンと出会う。

居酒屋経営なのだから当たり前といえばそうだけれど、オジサンは明るくて社交的で誰とでも打ち解けあって仲良くなれる、いわゆるイケてるオーラがにじみ出ている人。

その居酒屋で出会った人達に背中を押され、ラジオから流れてくる歌声にいても立ってもいられなくなって・・・？

新しい知り合いと、ラジオからの声とに後押しされたヒロインはどんどん行動範囲を広げていくのだ。

特に良い点は、たかこの表情描写。　

心の中で「うわ、この人なに」みたいなことを思っているのだろうなと瞬時にわかってしまう表情の描き方が秀逸で、照れたり恋をしたりする顔もまた良い。

何気ない日常の連続が楽しい時もあり、ツライ時もある。

そんな毎日に揺れながら生きていく一人の女性『たかこ』にどこか自分を見出して共感している自分がいる。一見地味な表紙だが秀逸な作品です

作品紹介

良いムードになった時の女心への柔軟な対応ができない。
女子が望むいざ男女の営み開始時のシチュエーション設定のイメージが貧困。
ママの作ってくれた味が最高と言ってしまう。

キスをしようとするとき鼻毛処理をしていないことを発見されてしまう。
お風呂掃除がされてない、いいムードになった時の女心に鈍感。
そんな痛い男達。

だめんずウォーカーのだめんず達とはまた種の違った？ダメ男たちが大活躍！！？

まぁ、いろんなダメ男が登場します。よくもここまでダメ男のバリエーションをそろえてくれました！という感じです。
あえて、いやこれはダメ男じゃ無くて女の方がダメだろう？　というツッコミ部分も混ぜてある構成がまた上手い。

これは自分的にはセーフ、これはないね。いや絶対ダメ。。。
そんな感じでダメ男分類が「弱」「中」「強」に分かれていて楽しめます。

でもこんな男いるの？でもよく考えると実際にいそう。（自分じゃなく、友達の友達ぐらいにはいる感じ？）でもいますねこんな男たち。

この世代の男たちにありがちな特有のあるあるネタが満載。
まぁ、いい悪いは別としてこれは女子会での素敵なネタにもなりそう。
そんな軽い気持ちで楽しんでください。

イケメン風の不倫男にそんな上手い話、福山雅治でもねぇ！のくだりで思わず声を出して笑ってしまいました。
でも人によっては福山だったらいいのでしょうか。

女の本音はいつも変わらず厳しくて同意しちゃう！（笑）

作品紹介

高校卒業後に札幌のメンズパブでバーテンダーとして働き、それなりに楽しくやっていた24歳の十川善十（そがわ・ぜんじゅう）だったが、同僚がトイレで倒れているのを目撃して戦慄、浴びるように酒を飲み続ける日々にピリオドを打ち、のんびりと暮らしていた。

しかし、そんな生活も長くは続かない。年上の彼女から三行半を突き付けられてしまう。
失意のなかススキノに繰り出し、白い鳥に誘われるようにオーセンティックなバーへ。

美味しいモルトと落ち着いた店内をすっかり気に入り、思わず「ここで働きたい」と白髪のマスターに直訴する。

このようにポンコツ青年が右往左往しながら“本物のバーテンダー”として成長していく物語が展開される一方、年上の元カノ、先代マスターの愛娘、ライバル店の女性バーテンダー、花屋の女の子というタイプの違う4人の美女に翻弄されていく恋模様が描かれる。

さりげなくバーの作法が挿入される心憎い演出にも要注目。大人の恋と大人のお酒が味わえる、贅沢な逸品だ。

作品紹介

オタクのなかでも小中学生向けのファンタジー作品に固執するクラスタは肩身が狭い想いをしている。
24歳の七緒律（ななお・りつ）も、そのひとり。
5歳の時に大好きだったアニメ「魔女っ子リリカ」を社会人になってから再見してドハマリ、コスプレイベントでリリカに扮してカメラ小僧のフラッシュを浴びることを至上の喜びとしている。

会社の同僚に観られたら社会的に死亡だということは重々承知のはずだったが、その死亡フラグが立つときがやってきた。

コスプレイベントの会場でバッタリ遭遇したのは、会社のイケメン上司・風見さん。
後日、社内で顔を合わせると「バラされたくなければ、リリカの衣装で家までこい」と戦慄の囁きが。
恐る恐る部屋を訪ねる律だったが、風見の正体は筋金入りのリリカヲタだった！

オタク女子が思い描く夢の恋愛を、少女漫画の論法に落とし込んだ手腕はお見事。
しかも、しっかりオトナの恋愛の側面もフォローされている点も素晴らしい。なぜならすったんもんだのあげく、2人は同棲するこになるのだ。

SNSの使い方や主要キャラのバックボーンが非常に現代的な味付け。
トリッキーな設定ながらも説得力があり、恋愛漫画としてちゃんと面白い。

随所に挿入されるギャグも快テンポ！
少女漫画、ヤングレディースを苦手にしている人にこそ読んで欲しい！

作品紹介

ヒロインの『Ａ子さん』はニューヨークに恋人のＡ君を残したまま東京に帰国し、一人暮らし。

そんなＡ子さんの周囲に集まってくるのはかつての美大友達のＵ子さんとかＫ子さんとかＩ子さんとかA太郎とか、そしてアメリカの恋人のＡ君とか。
これが大変一癖あり過ぎな面々。

なんだけど、本当に一番一癖あるのは普通なフリをして結構頑固なヒロインＡ子さんという、ちょっと尖った設定なのです。

アラサー女性の「あるある」がたくさんが詰まっており、リアリティのある作品と言われますが、恋愛体質の女子から見るとＡ子さんは理解の外でしょう。

近藤聡乃先生にしては珍しく恋愛をテーマにしていますが、本作は少女漫画じゃないし絵柄もそれ系ではない上に、ヒロインは決して美人には描かれていません。

A子さんは「外見的には普通」な感じ。　しかも「優柔不断」という女です。

その上それをコンプレックスに感じたり全然せずに、これが本当にナチュラルに優柔不断。　特に対人関係に関する限り、重要な決断はすべて先送りするという前代未聞のヒロインです。

なのに「これがモテる女の秘訣なのか？　そうなのか？」と悩んでしまうほど、このＡ子さん、モテます。

ニューヨークに残してきたハンサム白人のＡ君と日本のモテ男Ａ太郎の両方からアプローチされ続けながら、どちらのアプローチも「結婚は今は考えたくない」で逃げ続けるヒロインは、やっぱりちょっと変わった女で、そこがとても痛快で面白い。

一つ一つのエピソードがあまりにもリアルに具体的。　なおかつ設定も著者にちょっと似ているので「このヒロインって作者のこと？」と思えますが、そうじゃないのだそうですね？

A子さんだけじゃなく登場するキャラのほぼ全員が「かなり難あり」というか、心の中に「自己中で何が悪いの？」を醸成していて、それを隠そうともしないマイペースなキャラと、自覚してなくて振り回されるキャラとが交差して、随所に名言がほとばしります。

むしろ「人生あるある漫画」と言えるでしょう。
また、女子から女子へのさりげなく、そして厳しく刺さる名言も各所に・・・。

各エピソードは日常的でリアリズムあふれているので、読めば「そうか！これで良いんだ！」と心が軽くなること請け合いな漫画です。

スッキリ絵柄なので「少女漫画は無理」という男性でも確実にイケて、しかも随所で笑えます。

こんなバカにしたような名前の登場人物たちですが、それが面白い。
普通っぽいのにみんなキャラが立っているのがすごいです。

作品紹介

●悪女に振り回される失恋男子目線で始まる切なさいっぱいのショコラティエ・ストーリー。テンパリング中のチョコレートの質感に顔面がとろけそうになります。

●複数の働く女性キャラはどの女性もリアルな悩みを抱え、誰に感情移入するか？　で女子のタイプが分かれる複雑な人物設定も人気の秘密。

●「女から見たら悪女」でも「男から見たら天使」という悪役美女サエコさんのキャラ設定は、読めば納得の前向き女子。　思いのほか男女両方からも支持される。

●松潤主役でドラマ化もされた少女漫画。漫画をほぼ忠実に再現したドラマは笑えるシーンと泣けるシーンの評判も大変良く、両方を堪能する大人女子を大量生産した。

“製菓学校に通う爽太（ソータ）は一つ上のサエコと交際中。4年前の一目惚れから想い続け、去年のクリスマス直前にようやく初キス。大のチョコレート好きな彼女のため、チョコ作りの腕を磨く日々。彼女からタバコの匂いがしても、バレンタインのデートを断られても、全くくじけず挑み続ける爽太だったが…！？(アマゾンより引用-リンクは表紙画像から)”

作品紹介

00年代中盤に人気を博した元女優・峰なゆかのペンによるアラサー女子の恋愛観や（主に男女の肉体関係ムフフ関連の）生態を赤裸々に描いた4コマ形式の作品。

主人公のアラサーちゃんは30歳のパタンナー。胸部が大きめででスタイル抜群、当然ながら世の男子たちがほっておかない超絶モテ女子である。それでも好きな男からはモテなかったり、女友達同士のギスギスした関係に巻き込まれたり……。男と男、女と女、そして男と女が表と裏の顔を使い分け、時に本気で傷つけあい、時に本気で労わりあい、だいたいの時は欲望に忠実に生きて行く。それでもふと我に返る瞬間をオチに持ってくるのがミソ。

巻が進むにつれて老若男女、様々なカテゴライズのキャラクターが登場し、狭い世界でくんずほぐれつやっていく。峰の鋭く超細かい観察眼が随所で光り、決してベタなあるあるに陥らず、思わず吹き出してしまうエピソードばかり。2019年には最終7巻が刊行され、めでたく大団円を迎えたが、00年代のアラサー女子を全方位からパッケージした本作は、貴重な歴史的資料として読み継がれていくはずだ。

作品紹介

風俗店でのプレイ中に火事に合い、業火の中で気絶した冴えない46歳のハゲオヤジ＝天野光彦が、なぜか1986年に（魂だけ）タイムスリップ。46年分の記憶はそのままに高校2年生の若い体を手に入れた光彦は、青春をやり直し始める。

死ぬほど恋焦がれていたけど、結局は遠くから見ていただけのクールな美少女・小沢なつきに対して、「どうせ30年後に風俗店で最期を迎えるなら…」と半ばヤケクソで話しかける光彦。その一方で現在の嫁である幸子も同級生だったりするから複雑な立場に。

体は10代でも心は40代。中年の経験を活かして、2回目の青春はバラ色に変わるのか!?

ウォークマン、中村あゆみ、スペースハリアー、ベストキッド、『タッチ』…。時代を象徴する固有名詞の数々は、当時青春を送った大人たちにとっては懐かしいものばかり。

「様々な経験を経た上で、あのころに戻ってやりなおしてみたい…」そんな都合のいい大人のファンタジーといえばそれまでだけど、きっとそんなに簡単にはいかないであろう光彦の恋路を思わず応援しちゃいます